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高カロリー輸液と経管栄養剤

栄養輸液製剤

(1)  末梢静脈栄養法(PPN:peripheral parenteral nutrition)
 7.5%のブドウ糖と約3%のアミノ酸及び電解質を含有しており、ビタミンB1含有製剤もあります。経口摂取が不十分で、軽度の低タンパク血症又は低栄養状態手術前後のアミノ酸電解質及び水分の補給に使用されます。

 

 

(2)  高カロリー輸液療法(TPN:total parenteral nutrition)

 高カロリー輸液は、糖質、アミノ酸、ビタミン、電解質、微量元素を基本組成とする輸液剤で、消化管からの栄養摂取が長期にわたり障害されている患者に対して、栄養補給を目的に行われます。隔壁で上室液と下室液に分けた総合ビタミン剤配合、脂肪乳剤配合及び高カロリー輸液用微量元素製剤配合のキット製品もあります。

 

TPNでは、中心静脈に挿入したカテーテルからの投与が行われ、鎖骨下静脈、内頸静脈から行うのが一般的ですが、外頸静脈から行われることもあります。在宅で施行されるTPNはHPN(home parenteral nutrition)と呼ばれることがあります。

 

PPNとTPNの構成栄養素はほとんど同じで、違いは濃度になります。PPNは約1000kcal/日が限度ですが、TPNは2000kcal/日以上のカロリー投与が可能で、1日に必要なカロリーを輸液により摂取することができます。

 

しかし、TPNはPPNに比べてカテーテル穿刺、留置に伴う合併症(気胸、動脈穿刺、血栓、カテーテル感染など)が起こりやすいため注意が必要です。

 

 

経腸栄養剤

患者への栄養補給は、食事により摂取することが基本となりますが、嚥下障害、意識障害などにより経口摂取が困難な場合は、小腸からの吸収を期待した経腸栄養が選択されることがあります。

 

消化管機能が問題なければ、経腸栄養剤法を選択し、静脈栄養法を選択するのは最後の手段としての位置づけになります。理由は、腸管を使用しないことによる腸管免疫機能低下を招くこと、経静脈からの栄養法は細菌や真菌が混入する危険性があり、それが敗血症の原因となりうることがあるためです。

 

経腸栄養剤は、タンパク質の消化状態により成分栄養剤、消化態栄養剤、半消化態栄養剤に分類されます。成分栄養剤、消化態栄養剤は医薬品としての扱いになり、半消化態栄養剤は医薬品と食品(濃厚流動食)の取扱いのものがあり、医師からの指示はそれぞれ処方せんもしくは食事せんにより行われます。

 

成分栄養剤は、消化をほとんど必要としない成分(結晶アミノ酸)で構成された極めて低残渣性・易吸収性の経腸高カロリー栄養剤です。一般的に、低残渣性栄養剤はクローン病など消化管機能が極めて悪く、消化が困難な患者に使用されます。しかし、経腸栄養剤の中で浸透圧が最も高く、下痢を誘発する原因となるため注意が必要です。

 


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