毒薬・劇薬の管理と取り扱い
毒薬も劇薬も医薬品の一種として取り扱われ、両者とも薬事法によって取り締まりが行われます。毒薬は毒性が強い医薬品を厚生労働大臣が法令で指定しますが、具体的には急性毒性における致死量(50%致死量、LD50)が経口投与で1kgあたり30㎎以下のものを指します。
一方、劇薬は同様に厚生労働大臣が法令で指定し、急性毒性による致死量が経口投与で体重1kgあたり300㎎以下、皮下注射で体重1kgあたり200㎎以下のものを指します。このように毒薬と劇薬は、医薬品であり、毒性の程度の差で分けられています。
【毒薬】
スキサメトニウム塩化物
ジスチグミン臭化物(ウブレチド)
アトロピン硫酸塩水和物末
アミオダロン塩酸塩錠(アンカロン)
【劇薬】
ジゴキシン(ジゴシン)
インタフェロンベータ‐1b(ベタフェロン)など
直接の容器または直接の被包への表示については下記のように、毒薬の場合は黒地に白枠、白字で品名と「毒」の文字を表示し、劇薬の場合は白地に赤枠、赤字で品名と「劇」の文字を表示します。
毒薬・劇薬の保管場所について、毒薬は他のものと区別して保管することとなっており、かつ施錠しなければなりません。しかし、劇薬は他のものと区別して保管することになっていて、施錠による保管が必要とされていません。
実際、薬局では劇薬を陳列している棚は、同じ棚であっても区画を別にしたり、劇薬専用の棚に貯蔵したりしています。
両者とも、14歳未満の者、安全な取り扱いに不安がある者には交付ができないとされています。譲渡の場合は以下の手続きが必要となります。
<譲渡の手続き>
譲渡人から文書(品名、数量、使用の目的、譲渡の年月日、譲渡人の氏名・住所・職業、譲渡人の署名または記名・押印)の交付を受ける。
しかし、以下の場合は文書の交付を受けることが不要となります。
①薬剤師や薬局開設者などで、身分に関する公務所の証明書の提示
②薬剤師や薬局開設者などで、常時取引関係を有する者は、身分に関する公務所の証明書の提示も不要とされており、文書は譲渡の日から2年間保存しなければなりません。