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クリニカルパス

クリニカルパスとは、病院などの医療施設に患者が入院した際、疾病を治療する上で必要な治療、検査やケアなどを時系列に何を実施していくか具体的に記載しているスケジュール表のことをいいます。

 

 

クリニカルパスに対する薬剤師の役目

薬剤師は、クリニカルパスを作成するときや見直しを行うときに専門的な立場から使用薬剤の選択、投与量、投与期間の設定、患者への服薬指導時期の設定等などの提案を行っていくことが求められます。
そのためには、現況をカルテ等により、調査し、使用薬剤、投与量、投与期間などを把握・分析を行っていくことが重要です。さらに診療ガイドラインなどエビデンスを検索し、それに基づいた薬物治療を提案していかなくてはなりません。

 

 

クリニカルパスのメリット

クリニカルパスはいつ、誰によって、どんな事をするのかが一目で分かるようになっています。患者にとっても入院中のスケジュールが一覧表で表示されているので、患者は退院のめどや費用、これからどのようなケアが誰によって行われるのかが分かりやすく、安心感が高まるため、患者満足度も高まります。

 

また、クリニカルパスを導入することによって、過剰で無駄な医療費を削減し、すべての入院患者に均質で良質な医療を提供して、効率的でかつ合理的に疾患を治療することができます。当初は業務の効率化を目的としていましたが、クリニカルパスを導入することで使用薬剤が限定され、多種薬剤を在庫する必要がなくなるので、類似薬の取り間違い等のリスクも軽減することができるようになりました。そのため、クリニカルパスは医療経営のためのツールとして、または医療事故を防ぐための安全対策としてもメリットを得ることができます。

 

 

クリニカルパスとDPC

現在、わが国では特定機能病院を対象として診療群分類包括評価(DPC:Diagnosis Procedure Combination)が導入されています。DPCとは、診断疾患群で分類された区分ごとに入院期間に応じて定められた定額の点数をもとに、医療費の計算を行う制度のことです。DPCは包括評価部分(入院基本料、検査、投薬、注射、画像診断等)と従来の出来高評価部分(手術、胃カメラ、リハビリ等)を組合わせて計算されます。

 

これまでの医療費は診療行為ごとに計算される出来高払い制となっていましたが、本当に必要でない診療や検査が実施されることもあり、その分医療費が高騰してしまうのが問題としてありました。

 

しかし、DPCを導入することで1日の入院医療費を検査や投薬の量に関わらず定額となりました。病院側は無駄な検査や投薬を行うとコストがかかるため、医療経営の面からするとできるだけコストを抑える必要があります。このとき、コストを抑え過ぎて必要な治療を省いてしまうと過少診療となってしまい、患者に不利益を与えることになりかねません。そこでクリニカルパスを導入することで適切な医療を行うことができるようになります。

 

このようにクリニカルパスが広まってきたのは、DPCが導入されてきたことと深い関係があります。

 

 

地域連携クリニカルパス

最近では院内だけでなく地域連携医療パスを運用しているところもあります。地域連携クリニカルパスとは、急性期病院から回復期病院を経て自宅に戻るまでの治療計画のことを指します。

 

保険薬局は救急医療に対してなかなか関与できませんが、急性期後の回復期における薬物治療や患者の支援については、薬剤師の存在は必要不可欠です。そのためには、保険薬局の薬剤師と医療機関の薬剤師による薬薬連携が重要とされ、患者の情報地域連携クリニカルパスを共有するネットワークを構築していく必要があります。さらに地域連携クリニカルパスを共有することで、医療の標準化を図ることも可能となります。

 

 


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