ザイザルシロップ0.05%(一般名:レボセチリジン塩酸塩)
どんな薬か?
ザイザルシロップは成分がレボセチリジン塩酸塩で、既に発売されているザイザル錠と同じ有効成分となっています。剤形がシロップ剤となっていて、乳幼児が服用しやすく、薬用量の調節をすることができ、6ヶ月から7歳未満の患児にも適応がある医薬品です。
ザイザル錠は2010年に日本で発売されてた医薬品でアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患等に対して効果を示します。一般名はレボセチリジン塩酸塩といい、レボという名がついていることから分るようにセチリジンのエナンチオマーです。
セチリジンは抗アレルギー薬のジルテックの有効成分であり、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患等に効果があります。ジルテックはヒスタミンH1受容体を阻害して薬効を発現し、吸収は良好で作用発現も早く、長く効果を発揮します。ジルッテクはこれまで広く使われてきました。
ザイザル錠の有効成分であるレボセチリジンはヒスタミンH1受容体に高い親和性を示し、ジルテックの約2倍の親和性があるといわれています。そのため、ジルテックよりも強力で、安定した効果の持続が期待されるお薬としてザイザル錠は2010年に承認されました。
ザイザル錠は成人に対して1回5mgを1日1回、小児に対しては7歳以上の小児に1回2.5mgを1日2回という用法・用量で承認されています。ザイザル錠は7歳未満の小児に適応がなく、7歳以上15歳未満の小児に対しては5mg錠を半分にして投与します。つまり錠剤を半錠に加工する必要性が生じます。
シロップ剤は剤形を加工する必要はなく、用量調節によって小児量に適用することができます。成人と小児に適応を得ており、承認された用量は下記のようになっています。
<成人>1回10mLを1日1回
<小児>6ヶ月1歳未満で1回2.5mLを1日1回
1歳以上7歳未満で1回2.5mLを1日2回
7歳以上15歳未満で1回5mLを1日2回
有効性は?
ザイザルシロップの効能・効果は成人においてアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症となっており、小児においてはアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒となっています。
投与後2週後のアレルギー性鼻炎の症状について2歳以上15歳未満の患児を対象とした試験では、中等度改善と判定された割合が75%で、対するセチリジンは33~48%でした。皮膚疾患の症状についても改善したと判定されたのは55%で、対するセチリジンは31~48%となっていました。
アレルギー性鼻炎も皮膚疾患もセチリジンよりもレボセチリジンの方が効果があるという結果が得られています。セチリジン以外の抗アレルギー薬と比較してどのくらい効果があるのか気になるところです。
6ヶ月以上2歳未満の患者については症例数が少数でしたが、セチリジンドライシロップ剤を投与した場合と同程度の有効性が得られると結果が得られています。
予想される副作用は?
6ヶ月以上6歳未満の患児を対象とした国内外臨床試験データによると発熱、下痢、咳嗽、鼻出血等が認められ、発熱、下痢等が年少患児で高い傾向にありました。下痢や発熱は小児または乳児には一般的にみられる現象で、他の年齢層においてもこれらの症状の発現は認められています。
このことから、副作用頻度の発現が年齢により異なる傾向はないと考えれています。
一方、一般的に抗ヒスタミン薬を年少患児に投与するとてんかんやけいれんなどの発作を引き起こすことが懸念されています。レボセチリジンについても同様の危険性がないか確認されましたが、年少患児において発現リスクが増大する傾向は認められませんでした。
しかし、1歳以上2歳未満において、熱性けいれんの発現率がプラセボ群よりも高かかったと報告がありました。今のところ2歳未満に適応をもつ類似薬は少ないため、比較するのは容易ではありません。
ザイザルシロップが2歳未満で熱性けいれんを引き起こすとなりうるのか、それとも抗ヒスタミン薬自体が引き起こす原因となるのかは今の段階では不明です。そのため市販後調査と本剤とけいれんの発現状況について検討していく必要があるとされています。
その他、抗ヒスタミン薬に起こりやすい鎮静や眠気はプラセボと比較しても顕著に増加していなかったと報告されていました。ザイザルシロップもザイザル錠同様に比較的眠気は起こりにくいのではないかと考えられます。私の薬局での経験からすると、眠気は少なく、効き目も良いと言われる方が多い印象があります。