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コルヒチンカバー

痛風発作時に血清尿酸値を変動させるとかえって発作の増悪を認めることが多くあります。急激に血清尿酸値の低下が起こると、関節内での尿酸結晶の析出・遊離が促されるためと考えられています。

 

そのため痛風発作が起きた場合、まずは痛風発作に対する治療を行うことを優先し、発作中に尿酸降下薬を開始しないこととされています。

 

発作が起きたら、まず非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を投与します。
痛みが最も強い発作に対しては、常用量の2〜3倍のNSAIDsを投与します。NSAIDsとして、ナプロキセンやインドメタシンなどが広く使用されています。
NSAIDsのパルス療法を行って発作の寛解を待ち、寛解約2週間後から病型に即した尿酸降下薬を選択し、少量から開始し、徐々に増量していきます。

 

血清尿酸の治療目標値は、6.0 mg/dL以下。これを3〜6か月かけて低下させていきます。

 

痛風発作に使用される薬剤にコルヒチンがあります。
コルヒチンは、ユリ科の多年草イヌサフランに含まれるアルカロイドの一種であり、一般的な使用方法は、痛風発作の前兆期に少量(0.5 mg)に用いて、発作を頓挫させます。発作が起こってしまってから使用しても効果はありません。
そのため、痛風発作の前兆期に使用することが重要であり、痛風発作そのものに対する治療はNSAIDsが主体となります。

 

一方で、予防措置としての投与法もあります。ガイドラインでは、痛風発作が頻発する場合または尿酸降下薬の投与開始後に血清尿酸値の低下に伴う痛風発作が予想される場合は、少量のコルヒチン(0.5〜1.0 mg/日)を連日服用させるとあります。これをコルヒチンカバーといいます。

 

コルヒチンが痛風発作の寛解及び予防で使用される場合、通常成人にはコルヒチンとして1日3〜4mgを6〜8回に分割経口しますが、副作用が多いので1日1.8rまでの投与にとどめることがのぞましいとあります。

 

副作用として多いものに、腹痛、下痢、ついで嘔吐、筋けいれんがあり、いずれも24時間以内に出現することが多いです。
コルヒチンは催奇形性があるため、妊婦に禁忌となっています。
また、コルヒチンは代謝酵素CYP3A4によって代謝されるため、エリスロマイシンなどのCYP3A4を阻害する薬物との併用により、コルヒチンの作用が増強されることがあるので注意が必要です。

 

痛風の治療方針とコルヒチンの特徴を理解し、コルヒチンを効果的に使用できるようにしていきたいものです。


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