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尿酸産生抑制薬

薬剤名(商品名)

アロプリノール(商品名:ザイロリック)

 

フェブキソスタット(商品名:フェブリク)

 

トピロキソスタット(商品名:トピロリック、ウリアデック)

作用機序

キサンチン酸化還元酵素(プリン体から尿酸に代謝される過程で働く酵素:XOR)を阻害することで、尿酸の生合成を阻害します。高尿酸血症のうち、主に尿酸産生過剰型に使用されます。

 

アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタットはどれもXORを阻害しますが、その構造の違いから、異なる作用機序で尿酸産生を阻害します。
また、アロプリノールの血中半減期は約1.6時間と短いのに対して、その代謝産物のオキシプリノールは約17時間と長く、尿酸産生抑制が長時間持続します。

 

アロプリノール

ヒポキサンチンの異性体でプリン骨格をもっています。本剤はXORにより酸化されてオキシプリノールとなり、より強力にXORを阻害します。

 

代謝産物であるオキシプリノールは腎臓から排泄されます。高濃度のオキシプリノールは副作用の原因となることがあるので、中等度の腎機能障害(Ccr 30~50 mL/分)がある場合は用量制限が必要になります。

 

本剤は構造式中にプリン骨格をもつため、尿酸代謝以外のプリン・ピリミジン代謝酵素にも影響を与えます。プリン骨格を有するカフェインを併用すると、カフェインの作用が強く出てしまうため、カフェインを多く含むドリンク剤などの使用は避ける必要があります。

 

フェブキソスタット、トピロキソスタット

構造式中にプリン骨格をもたない(キサンチンと異なる分子構造をもつ)選択的XOR阻害薬です。そのため、他のプリン・ピリミジン代謝酵素の活性に影響を及ぼさないため副作用が少ない阻害薬として期待されています。

 

両剤とも一部肝臓でも代謝されるため、腎臓の負担が少なく、軽度から中等度の腎機能障害では減量は不要になります。ここはアロプリノールと異なる点です。しかし、重度の腎機能障害(Ccr 30 mL/分未満)がある場合は、慎重に投与する必要があります。

 

フェブキソスタットとトピロキソスタットの違いとして、2点挙げられます。
まず、XORの結合様式が異なるということです。
アロプリノールはXORの活性中心であるモリブデン(Ⅳ価)と共有結合することで阻害作用を示します。フェブキソスタットはXORの基質結合ポケット内の複数のアミノ酸残基と相互作用により、XORを選択的に阻害するという性質をもっています。
一方、トピロキソスタットはこれら両方の性質を有することでXORを阻害する性質をもちます。

 

次に、フェブキソスタットは1日1回服用、トピロキソスタットは1日2回服用になっている点です。
トピロキソスタットの方が発売時期は新しいですが、服用回数は多くなっています。これは尿酸値の変動を小さくするために、1日2回投与するという考えに基づいています。

 

トピロキソスタット80mgを1日1回投与した場合と、80mgを1日2回(1回40mg)投与した場合の比較試験では、投与回数が2回の方が尿酸濃度の低下が大きく、かつ日内変動が少ないことが示されました。

適応

高尿酸血症、痛風

 

禁忌

メルカプトリン水和物、アザチオプリン投与中(骨髄抑制のおそれ) (アロプリノールを除く)

 

副作用

アロプリノール

肝障害、骨髄抑制(再生不良性貧血、汎血球減少)、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、過敏症(発心、掻痒)

 

フェブキソスタット、トピロキソスタット

非ピリン体で核酸代謝酵素に影響しないことから、重大な皮膚症状の副作用報告がないと考えられます。
肝障害、関節痛、骨髄抑制

相互作用

XORで代謝される薬(メルカプトプリン、アザチオプリン、テオフィリン)は、作用を増強するため併用に注意が必要です。フェブキソスタットとトピロキソスタットにおいては、メルカプトプリンとアザチオプリンは併用禁忌となっています。


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