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問158

問158(薬理)高血圧症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 アリスキレンは、レニンを阻害することで、アンジオテンシンⅠの産生を抑制する。
2 アテノロールは、アドレナリンβ1受容体遮断により心拍出量を減少させるとともに、アドレナリンα1受容体遮断により血管収縮を抑制する。
3 シルニジピンは、電位依存性N型Ca2+チャネルを遮断することで、交感神経終末からのノルアドレナリン放出を抑制する。
4 リシノプリルは、キニナーゼⅡを阻害することで、ブラジキニンの生成を抑制する。
5 クロニジンは、延髄の血管運動中枢のアドレナリンα2受容体を遮断することで、交感神経活動を抑制する。

 

 

 

1 正
アリスキレンは、レニンを阻害することによって、アンジオテンシノーゲンからアンギオテンシンⅠの産生を阻害します。アリスキレン作用点は、ACE阻害薬やARBよりも上流のため、ACE阻害薬のようにブラジキニンの分解を阻害することはありません。したがって空咳の副作用は出にくいと考えられます。

 

2 誤
アテノロールは、心筋に主に存在するβ1受容体を選択的に遮断します。 β1受容体を遮断することにより、心筋の収縮力低下、 心拍数の減少、房室伝導抑制が生じ、副腎ではレニン分泌の低下を生じることによって降圧作用を示すと考えられています。 内因性交感神経刺激 作用(ISA)及び膜安定化作用(MSA)は示さないとされています。アテノロールはα1受容体遮断作用は示しません。

 

3 正
シルニジピンはジヒドロピリジン系のCa拮抗薬で、主にCa2+チャネルのL型とN型の抑制効果を持っています。血管平滑筋や心筋細胞膜に存在する膜電位依存性Ca2+チャネル(L型)を通じて、細胞内へCa2+が流入するのを抑制することにより血管を拡張させ 降圧作用を示します。また、交感神経終末に存在するN型Ca2+チャネルを遮断することで交感神経終末からのノルアドレナリンの放出抑制作用も示します。

 

4 誤
キニナーゼⅡ=アンジオテンシン変換酵素(ACE)であり、リシノプリルはこの酵素を阻害する作用があります。ACEを阻害することで、アンジオテンシンⅡの産生を阻害するとともにブラジキニンの不活化を抑制しますので、ブラジキニンの生成は促進されることになります。ブラジキニンが増加すると空咳が出やすくなります。

 

5 誤
クロニジンは、脳幹部の延髄にあるアドレナリンα2受容体に選択的に作用します。交感神経活動を抑制することにより,末梢血管を拡張させて血圧を降下させます。

 

解答 1・3

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