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抗リウマチ薬(DMARDs)による早期治療の導入

関節リウマチ(RA)では、治療の第一目標として寛解を目指します。寛解とは、痛みや腫れなどの症状がない状態または症状が十分に落ち着いているという状態をいいます。それが達成できない場合では、第二目標として、疾患の活動性を抑えるということを目指して治療を行っていきます。この状態は関節破壊の進行が止まった状態、健康な時と同じような生活ができる状態のことをいいます。

 

これまで過去のRA治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を投与して痛みや腫れを軽減するという方法がとられており、それでも改善が見込めない場合に抗リウマチ薬(disease-modifying anti-rheumatic drugs: DMARDs)を追加していくという治療方針でした。

 

しかしNSAIDsだけでは関節の痛みや腫れを改善することができず、関節破壊の進行は進んでいくばかりでした。さらに、NSAIDsは長期間使用し続けることで胃潰瘍や腎障害を起こすことがあるため、漫然と使用し続けることには問題がありました。

 

この治療法とは異なり、現在ではDMARDsによる治療を早めに開始するようになりました。この理由として、DMARDsの早期導入により関節破壊を防止することができ、予後も良好な状態を維持できるという点にあります。また、関節破壊は発症後早期に進行することが明らかになっており、発症早期に治療機会を逃さず治療に取り掛かることできればより高い効果を上げることができるようになりました。

 

 

炎症性サイトカイン

RAにおける関節破壊は、破骨細胞による骨破壊と滑膜の持続的な炎症が原因とされており、過剰な免疫反応が起きていることが炎症反応の原因となっています。

 

免疫反応で重要な役割を担っているのが炎症性サイトカインです。サイトカインとは、サイト(cyto)=細胞+カイン(kine)=作動因子からの造語で、免疫反応を起こす細胞を作動させるためのタンパク質です。サイトカインは数種類存在することが知られていて、インターロイキン(IL)、インターフェロン、TNF、TGFなどがあり、その中でIL-6、TNF-αなどは炎症反応に重要な役割を果たしていると考えられており、RAの治療ターゲットとなっています。

 

 

RAの薬物治療

RAの病態において過剰な免疫反応を抑えるために、幾つかの方法が考えられますが、その方法論として@免疫反応におけるキーとなるサイトカインをピンポイントで抑え、炎症反応を抑える方法、A免疫作用そのものを抑制して炎症反応を抑える方法、B免疫機能を調節して免疫を抑える方法の大きく3つの方法があります。

 

その治療薬として使用されるのが、@の生物学的製剤、Aのメトトレキサート(MTX)が代表的な免疫抑制剤、そしてBの免疫調節剤があります。

 

RAのスタンダードな治療方法としてAが主流となっており、MTXはRAのアンカードラッグと呼ばれています。@はAよりも高い効果を上げることができる薬剤として広く使われていて、新薬も多く開発されています。BはRAの治療薬として古くから存在していますが、現在ではメインの治療薬としてはあまり使用されていません。これらの薬剤は1剤で使用されるたり、効果が不十分な場合は併用療法として使用されることがあります。

 

 @生物学的製剤

生物学的製剤は、標的がはっきりとしており、炎症性サイトカインであるTNFαIL-6受容体などを標的とした治療薬です。注射剤がほとんどですが、近年では新しい薬理機序をもつヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤が開発されており、内服薬として利用できるようにもなっています。

 

生物学的製剤は関節破壊を抑制する効果は高く速効性があります。さらにMTXとの併用による有用性が多くの臨床試験で明らかになっています。しかし、生物学製剤は薬価が高いことがネックとなりますのでむやみに使用されるべき薬剤ではありません。

 

生物学的製剤は、本来異物を排除するシステムである免疫反応を抑えてしまうために感染症のリスクが高くなってしまいます。そのため、副作用として重篤な感染症に感染するおそれがありますので、十分な知識と経験がある医師によって使用される必要があります。生物学的製剤のTNF阻害薬の使用についてはガイドラインが作成されています。以下にそのガイドラインを記します。

 

関節リウマチ(RA)に対するTNF阻害薬使用ガイドライン

1. 既存の抗リウマチ薬(DMARD)通常量を3ヶ月以上継続して使用してもコントロール不良のRA患者。コントロール不良の目安として以下の3項目を満たす者。

 

圧痛関節数6関節以上
腫脹関節数6関節以上
CRP 2.0mg/dl以上あるいはESR 28mm/hr以上
これらの基準を満たさない患者においても、
画像検査における進行性の骨びらんを認める
DAS28-ESRが3.2(moderate disease activity)以上
のいずれかを認める場合も使用を考慮する。

 

2. 既存の抗リウマチ薬による治療歴のない場合でも、罹病期間が6ヵ月未満の患者では、DAS28-ESRが5.1超(high disease activity)で、更に予後不良因子(RF陽性、抗CCP抗体陽性又は画像検査における骨びらんを認める)を有する場合には、MTXとの併用による使用を考慮する。

 

3. さらに日和見感染症の危険性が低い患者として以下の3項目も満たすことが望ましい。
末梢血白血球数4000/mm3以上
末梢血リンパ球数1000/mm3以上
血中βD-グルカン陰性

 

*インフリキシマブの場合には、既存の治療とはMTX 6〜16mg/週を指す。エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブおよびセルトリズマブペゴルの場合には、既存の治療とはMTX、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、レフルノミド、タクロリムスを指す。 

 

 

<主な生物学的製剤>

成分名

商品名

標的分子

インフリキシマブ レミケード TNFα
エタネルセプト エンブレル TNFα
アダリムマブ ヒュミラ TNFα
トファシチニブ シンポニー TNFα
セルトリズマブ シムジア TNFα
トシリズマブ アクテムラ IL6-受容体
アバタセプト オレンシア CD80/CD86

 

A免疫抑制剤

免疫抑制剤は免疫反応全般を非特異的に抑制する薬剤であり、MTXをはじめとして、タクロリムス、ミゾリビン、トファシチニブがあります。トファシチニブは近年開発された薬剤でヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害する作用があり、抗リウマチ薬の新しいターゲットとなっています。

 

MTXはRA薬物治療の中心的な存在で、アンカードラッグとも呼ばれています。MTXは比較的効果の発現が速く、有効率が高くて関節破壊の進行を抑制する効果があることが明らかになっています。また、長期に渡って効果が持続することからRAの標準治療薬と位置付けられています。

 

MTXの副作用として間質性肺炎などの肺障害、肝障害または血液障害などの副作用が報告されています。その副作用を防ぐために葉酸を服用したり、休薬期間をあけながら服用するという変則的な服用方法で服用していきます。 

 

 

<主な免疫抑制剤>

成分名

商品名

メトトレキサート(MTX) リウマトレックス
ミゾリビン プレディニン
レフルノミド アラバ
タクロリムス プログラフ
トファシチニブ ゼルヤンツ

 

 

B免疫調整剤

免疫調整剤は最も古い抗リウマチ薬であり、最近では先に挙げた2つの薬剤の使用頻度の方が高く、あまり使用されなくなってしまいました。免疫調整剤は正常な免疫機能に影響せず、異常な免疫機能だけを正常化します。一般的に効果の発現が遅く、効果も弱く、さらにその効果がある人とない人の個人差が大きいとされています。また、その効果が得られたとしても使用を続けているうちに効果が減弱するエスケープ現象がみられるようになることがあります。

 

一方、免疫調整剤は、副作用の発現も多く、肺障害や血液障害などの重篤な副作用がみられることがあるため、使用頻度は低くなっています。しかし、薬価は前述の2つに比べて安い薬剤です。

 

したがって免疫調整薬を使用する際は、定期的な血液・尿検査により副作用が発現していないかモニタリングしながら、服用を2〜3ヶ月は続けていかなければなりません。

 

 

<主な免疫調整薬>

成分名

商品名

作用発現時間

ペニシラミン メタルカプラーゼ 1〜3ヶ月
ロベンザリット ロベンザリット 3〜6ヶ月
オーラノフィン リドーラ 3〜6ヶ月
ブシラミン リマチル 1〜3ヶ月
金チオリンゴ酸ナトリウム シオゾール 3ヶ月〜
アクリタット モーバー、オークル 3〜6ヶ月
サラゾスルファピリジン アザルフィジンEN 2〜4週

 


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