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チーム医療

 年々高度化・専門家する医療と、医師の業務負担が増加する中で、1人の医師が診断から治療、ケアまですべてを行うには限界があり、また医師一人と患者の対面的医療は一方向的なものになりやすい傾向があります。このため、本来欧米で導入されていたチーム医療という考え方が取り入れられるようになりました。

 

 チーム医療とは、医師がチーム全体を統括し、薬剤師、看護師、臨床検査技師、栄養士などのコメディカルが連携してチームをつくり医療を提供することをいいます。チーム内のそれぞれの職種が専門性を出して、それを発揮して協力し合うことで、医療従事者と患者の間の双方向的コミュニケーションと情報の共有が可能となり、結果として患者が満足できる最良の医療を提供することができるようになります。

 

 これまでのチーム医療では医師を中心としたチームで診断し治療方針を決定していて、薬剤師などのコメディカルは補佐的に関与するものでした。しかし、最近では医師の指示でのみ関わりあうのではなく、各々の高い専門性を持ち合った多種多様な医療スタッフが目的と情報を共有し、業務を役割分担し、互いに連携・補完するというスタイルになりつつあります。チーム医療の考え方として、患者を中心に、患者の抱えている問題を考え発見し、その問題解決を行っていく医療とされています。

 

 薬剤師がチーム医療において具体的に実施することができる業務について、以下のように示されています。専門性の高いチーム医療では、薬剤師の業務の質を高めるため、日本薬剤師会および各種学会が定めるさまざまな専門資格があります。(例:がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師)

 

(1) 薬剤師を積極的に活用することが可能な業務
①薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダーについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること

 

②薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間について、医師に対し、積極的に処方を提案すること

 

③薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと

 

④薬物の血中濃度や副作用モニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること

 

⑤薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること

 

⑥外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと

 

⑦入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するなど、当該入院患者に対する薬学的管理を行うこと

 

⑧定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤すること

 

⑨抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと

 

(2) 薬剤に関する相談体制の整備

(厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」より)


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