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処方と処方せん

処方とは、医師が、特定の患者の特定の疾病に対して投薬の必要性を判断し、必要な医薬品を選定し、その医薬品の分量と用法用量および使用期間を定める行為を指します。法的に処方行為ができるのは医師、歯科医師および獣医師となります。

 

この処方を記した文書が処方せんとなり、特定の患者の特定の疾病に必要な医薬品を交付するために、医薬品名、分量、用法、用量、使用期間などが記載されています。

 

処方せんは「一定の資格、免許を有する者(薬剤師)に、医師が医薬品を整えることを要求する」ものであり、薬剤師は、独立した立場から職能により患者に投与する薬剤の有効性や安全性を判断し、責任をもって調剤を行わなければなりません。

 

つまり、薬剤師は処方せん内容を理解し、患者が効果的で安全な薬物治療が行うことができるように医薬品を調整する責任があります。その法的根拠として、薬剤師法第23条に「薬剤師は処方せんに疑義があるときは、それを確認した後でなければ調剤してはならない」と定められており、薬剤師は処方せんの記載通りに調剤したということだけでは責任逃れをできない場合があるということになります。

 

薬剤師法第23条

薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。
2 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはならない。

 

処方せんの種類

処方せんには通常の処方せんと麻薬が記載された麻薬処方せんがあります。通常の処方せんは調剤薬局などで取り扱うことが多い、院外処方せんと特定の病院や診療所内でのみ通用する院内処方せんがあります。

 

 

院外処方せん

院外処方せんは医師の指示を正しく伝えることができるためには必要な情報が明確に記載されている必要があるため、特定の様式のものを用いる必要があります。以下のような様式またこれに準ずる様式が使用されています。

 

院外処方せんに記載されるべき情報は、処方せんの記載事項については医師法施行規則と歯科医師法施行規則に定められています。患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間などがあり、さらに被保険者証の記号・番号、保険者番号の記載、保健医療機関の所在地・名称・電話番号、保険医氏名等の記載も記載されていなければなりません。

 

医師法施行規則第21条(歯科医師法施行規則第20条)

医師(歯科医師)は、患者に交付する処方せんに、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間及び病院もしくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。

 

使用期間は特に記載のある場合を除き、交付の日を含めて4日以内が原則となっています。例えば、本日を5月15日とすると、15日を含めて4日以内なので5月18日までが処方せんの使用期間となります。使用期間を過ぎると処方せんを薬局へ持って行っても調剤できない場合があるため、注意が必要です。

 

また、記載される医薬品は薬価基準収載品でなければなりません。そのため、院内のみで通用するような約束処方や医薬品名の省略記載は行ってならないことになっています。

 

 

院内処方せん

院内処方せんは、処方せん様式のうち特定の診療所内でのみ通用する処方せんのことをいいます。仮に院内処方せんを院外の調剤薬局へ持って行ったとしても調剤してもらうことはできません。

 

院内処方せんの特徴として、省略できる内容があるという点と約束処方を記載できる点があります。

 

院内処方せんには、患者の情報が院内で管理されているため、被保険者の記号・番号、保険者番号、保健医療機関の所在地・名称・電話番号または処方せんの使用期間などは省略することができます。

 

一方、汎用する処方については院内で医局と薬局であらかじめ薬名、分量、用法などを決めておき、処方時にその略名を記すことでその処方内容を処方できることを約束処方といいます。約束処方は医師の記載行為を簡略化したり、薬局側が予製することができ、迅速に調剤ができるという利点があります。

 

例えば、私が住んでいる地域では、約束処方にCMCPというものが使用されることがありますが、これは鎮痛目的使用される処方です。中身はロキソプロフェンNa、カフェイン、バランス散、ロバキシンが含まれており、用量は施設によって異なっています。院外処方せんではこのような約束処方を記載することができます。

 

 

麻薬処方せん

麻薬処方せんは、麻薬が記載されている処方せんをいいますが、麻薬処方せんの特徴は、通常の処方せんの記載事項のほかに、患者の住所麻薬施用者免許証番号を記載しなければならない点になります。

 

ただし、院内処方の場合においては、麻薬処方せんの記載事項のうち、患者の住所、処方せんの使用期間、麻薬業務所の名称及び所在地を省略することができます。

 

麻薬処方せんの記載事項については、麻薬及び向精神薬取締法第27条第6項に定められています。

 

麻薬及び向精神薬取締法第27条第6項

麻薬施用者は、麻薬を記載した処方せんを交付するときは、その処方せんに、患者の氏名、麻薬の品名、分量、用法用量、自己の氏名、免許証の番号その他厚生労働省令で定める事項*を記載して、記名押印又は署名しなければならない。

*その他厚生労働省令で定める事項
@患者の住所、A処方せんの使用期間、B発行の年月日、C麻薬業務所の名称及び所在地(同施行規則第9条の3)

 


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