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麻薬・向精神薬の管理と取扱いについて

麻薬

麻薬の保管

麻薬及び向精神薬の管理などを含む取り扱いについては、一般の医薬品と異なり、麻薬及び向精神薬取締法により厳格な規制を受けています。

 

麻薬の保管は、麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く)と区別し、鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければなりません(麻薬と覚せい剤は保管場所を同一にできる)。鍵をかけた堅固な設備とは、専用の固定した金庫又はボルト等で固定され容易には移動できない重量金庫で施錠設備のあるものを指します。手提げ金庫、スチール製のロッカー、机の引き出し等は麻薬の保管庫とはすることはできません。

 

麻薬の廃棄

麻薬の取り扱いは厳密に行われており、以下のように廃棄を行う場合は、届出が必要となったり、立会人が必要となったりすることがあります。

 

<麻薬処方せんにより調剤された麻薬以外の麻薬を廃棄する場合>

麻薬廃棄届の提出を事前に行う必要があり、廃棄する前に都道府県知事に届け出て、当該職員(麻薬取締員)の立会いの下で廃棄しなければなりません。

 

<麻薬処方せんにより調剤された麻薬(調剤済みとなった麻薬)を廃棄する場合>

廃棄後30日以内調剤済麻薬廃棄届の提出を行います。廃棄方法としては、麻薬管理者が、麻薬診療施設の他の職員の立会いのもと、回収困難な方法で廃棄します。以下に廃棄の具体例を示します。

・  錠剤、カプセル剤等は、乳鉢、粉砕機等で粉砕後放流または焼却する。
・  坐剤、散剤等は、湯等で溶解後放流または焼却する。
・  経皮吸収型製剤は、ハサミ等で細かく切った後廃棄物として廃棄または焼却する。
・  液剤、注射剤等は、内溶液を放流する。

 

一方、麻薬注射剤の使用残液やTPNに麻薬を注入して用いたものの残液については、麻薬管理者が他の職員の立会いのもの、速やかに焼却等の麻薬を回収が困難な方法で廃棄することとなっています。このときの届出の提出は不要となっています。

 

麻薬の事故

麻薬管理者又は麻薬施用者が管理している麻薬に減失、盗取、所在不明、その他の事故があった場合には麻薬事故届を届け出ることとされています。

 

 

向精神薬

向精神薬とは、中枢に作用して精神機能に影響を及ぼす物質(医薬品としては精神安定剤、催眠鎮静剤、鎮痛剤等が該当)であって、乱用されるおそれがあり、かつ乱用された場合に保健衛生上の危害や社会的な弊害を起こすおそれのあるものをいいます。向精神薬は麻薬及び向精神薬取締法によって規制を受けます。

 

向精神薬の分類

向精神薬は、その乱用の危険性及び医療上の有用性の程度により第1種から第3種まで3種類に分類され、向精神薬ですがそれぞれの規制内容が異なります。

 

第1種:乱用された場合、有害作用が高い
セコバルビタールナトリウム、メチルフェニデート塩酸塩

 

第2種:乱用された場合、有害作用が中程度
アモバルビタール、アモバルビタールナトリウム、ブプレノフィン、フルニトラゼパム、ペンタゾシン、ペントバルビタールナトリウム、ペントバルビタールカルシウム

 

第3種:乱用された場合、有害作用は第二種より低い
アルプラゾラム、アロバルビタール、エスタゾラム、オキサゼパム、オキサゾラム、クアゼパム、クロキサゾラム、クロチアゼパム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、トリアゾラム、ニトラゼパム、ニメタゼパム、バルビタール、ハロキサゾラム、フェノバルビタール、フェノバルビタールナトリウム、プラゼパム、フルジアゼパム、フルラゼパム、ブロチゾラム、ブロマゼパム、ペモリン、マジンドール、ミダゾラム、メダゼパム、レフェタミン、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパム、ロルメタゼパム

 

向精神薬の取扱い

向精神薬は医療従事者が常時在室する以外はかぎをかけた設備内に保管することとなっています。通常営業時間内の調剤室は常に薬剤師など医療従事者が在室しているため、かぎをかけることはありません。しかし、時間外になるとかぎをかけた設備内に保管しなければなりません。

 

以下に示す数量以上の盗難・紛失がある場合は、向精神薬事故届により速やかに都道府県知事に届け出ることとなっています。

原末、散剤、顆粒剤:100g(包)
錠剤、カプセル剤、坐剤:120個以上
注射剤:10アンプル(バイアル)
内用液剤:10容器
経皮吸収型製剤:10枚

向精神薬の廃棄は焼却や希釈などによって行われます。このとき届け出は不要となっていますが、第1種・第2種向精神薬は記録が必要となります。また、譲渡の記録については第1種及び第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、または廃棄したときは記録を2年間保存しなければならないとされています。しかし、第3種については記録の必要はないとされています。

 


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