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学校薬剤師

 学校薬剤師は学校保健安全法の定めるところにより、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・高等専門学校・盲学校・聾学校・養護学校に至るまで、大学を除く国立・公立・私立の学校すべてにそれぞれ学校薬剤師を置かなければならないとされています。学校薬剤師は委任委嘱(非常勤)されることから、常駐する必要はありません。

 

 学校薬剤師は、環境衛生検査に従事し、学校環境衛生の維持および改善に関し、必要な指導と助言を行うことに加え、薬物乱用防止・医薬品の適正使用など薬事衛生や公衆衛生に関する啓発を行います。

 

学校薬剤師の職務

① 学校保健安全法施行規則第1条に定める定期検査、臨時検査を実施すること

② 学校環境衛生の維持及び改善に関し必要な指導及び助言を行うこと

③ 学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与すること

④ 健康相談や保健指導を行うこと

 

 

学校薬剤師の役割

 社会が変化するに伴って、学校生活での子供たちの衛生や健康に及ぼす環境も変化してきました。以前は1日に必要な栄養素を摂るのも困難な時代でしたが、現代は飽食の時代へと移り変わり、過去に比べて子どもたちの身体は大きくなっているが、近視や肥満が増加傾向にあり、体力・運動能力は低下傾向にあります。また、小児アレルギーの増加や、小児肥満、摂食障害、不登校の増加などについて精神面のケアが課題となっています。このように児童・生徒の健康問題は変化してきていて、保健体育の教員や養護教員だけでは対応が困難な状況となってきました。

 

 そのため、学校医、学校歯科医師、学校薬剤師が連携協力して対応することが求められるようになりました。学校医は児童・生徒の体の管理、学校歯科医師は歯と口腔内の管理、そして学校薬剤師は環境衛生の管理するよう職務が分かれています。

 

 2009年から、学校薬剤師の職務内容が広くなり、健康相談と保健指導にも従事するようになりました。さらに薬の適正使用教育を重要視するようになったこと、禁煙、飲酒、薬物乱用への危険が低年齢化しているという社会問題も生じているという背景により、公衆衛生やセルフメディケーション支援の専門家としての学校薬剤師の関わりがいっそう期待されています。

 

環境衛生検査

児童・生徒等と学校職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として、平成21年に学校環境衛生基準が定められました。学校薬剤師はこれに従って、環境衛生検査を行うことになっています。現在のところ、放射性物質に関する基準は定められていません。

 

学校環境衛生基準(学校保健安全法第6条1)

第1 教室等の環境に係る学校環境衛生基準

・換気及び保温等 ・採光及び照明 ・騒音

 

第2 飲料水等の水質及び施設・設備に係る学校環境衛生基準

・水質 ・施設 ・設備

 

第3 学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品の管理に係る学校環境衛生基準

・学校の清潔 ・ネズミ、衛生害虫等 ・教室等の備品の管理

 

第4 水泳プールに係る学校環境衛生基準

・水質 ・施設 ・設備の衛生状態

 

第5 日常における環境衛生に係る学校環境衛生基準

・教室等の環境 ・飲料水等の水質及び施設・設備 ・学校の清潔及びネズミ、衛生害虫等 ・水泳プールの管理

 

第6 雑則(臨時検査)

 

薬物乱用防止教育

 近年、日本では薬物乱用事件が大幅に増加し、青少年の間でも麻薬、覚せい剤、脱法ドラッグなどの薬物乱用が広まっており、社会問題化しています。2007年文部科学省の依頼通知文に、全ての中学校と高等学校で、年に1度は薬物乱用防止教室の開催に務め、小学校でも地域の実情に応じて開催に務めるよう依頼がありました。その際の講師として、警察職員、麻薬管理官OBに加えて、学校薬剤師が明記されています。

 

 学校薬剤師は、中学校及び高等学校で少なくとも年1回開催される薬物乱用防止教室に協力、講習会を実施、薬物乱用防止教育教材の作成と配布などを行うことにより啓発活動を行います。

 

 

くすりの正しい使い方授業

 新学生指導要綱でくすりの正しい使い方授業が実施されるようになり、学校薬剤師は児童向けのスライド教材を作成し、学校の教諭等に提供したりして、教育現場における啓発活動を行います。

 

 小学校では各学校の判断で総合学習、保健指導等に組み込まれており、中学校では2012年度から保健体育の授業で全面実施となりました。高等学校でも2013年度から全面実施となっています。

 


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