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在宅医療とは?

人口の高齢化や罹患する疾病の変化によって、患者が入院せずに自宅で医療を受ける機会が増加しています。また、緩和医療の患者においても自宅で療養して最期を迎えることを希望することも多くなっています。

 

そこで患者のQOLの向上を重視して、患者が入院せずに自宅において医療を受けることを在宅医療といいます。在宅医療は医師に限らず、薬剤師やホームヘルパーやケアマネジャーなど多職種によって行われています。薬剤師も患者の自宅を訪問して薬に関する管理を行うことが多くなってきました。

 

 

在宅医療の対象

保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、患者の自宅を訪問して薬学的管理および指導を行う業務を在宅患者訪問薬剤管理指導といいます。

 

在宅患者訪問薬剤管理指導の対象患者は、医師の指示があり、在宅で療養していて通院が困難な患者となります。具体的な疾患としては認知症、悪性腫瘍、脳血管障害などで、利用する理由としては、通院が困難なことのほか、緩和医療で最期は住み慣れた場所で迎えたいと希望する患者が多くいます。

 

患者の家族背景には核家族化があり、老夫婦だけで生活している家族や独り暮らしをしているケースが多く、ホームヘルパーやケアマネジャーの方々が身の回りの世話をしていることも多いです。

 

在宅指導の依頼は医師から来ることがほとんどですが、患者の世話をしている方が薬局へ薬に関する相談があり、そこから在宅訪問が始まるというケースもあります。

 

地域差はありますが、多職種で連携してネットワークを構築しているところが増えてきています。薬局内に引き篭もっている薬剤師もいますが、今後は積極的に外へ出て、薬のプロフェッショナルとして職能を発揮することが求められていくと思います。

 

 

事前の確認

在宅医療サービスは介護保険をもっている場合、介護保険が優先される仕組みになっています。したがって、在宅患者訪問指導を行うにあたり、事前に対象患者が介護保険を持っているかを確認しておく必要があります。つまり対象患者が要介護認定を受けているかどうかを確認する必要があります。

 

要介護認定とは、介護保険を受けるにあたり、被保険者が介護を要する状態であることを市町村が認定するものです。健康保険は保険証を掲示すれば、医療サービスを受けることができますが、介護保険を受けるためには、被保険者が実際に介護が必要かどうかの認定が必要で、この認定を要介護認定といいます。

 

要介護認定は、日常生活にどのくらい介護を必要とする状態であるかで区分され、状況に応じて要介護認定1から5までに規定されます。最も重症なものは要介護認定5とされます。

 

また、日常生活において介護を必要とする状態を意味する要支援認定もあり、要支援認定は2段階で規定されています。

 

介護保険をもっているということは、要支援1から要介護5のいずれかの認定を受けているということになります。

 

保険薬局で行う在宅医療サービスとして、医療保険で行うサービスを在宅患者訪問薬剤管理指導といい、介護保険で行うサービスを居宅療養管理指導といいます。

 

これらは内容に差はありませんが、届出や請求方法が異なります。医療保険で行う在宅患者訪問薬剤管理指導の場合、薬局から地方厚生局に事前の届出が必要となりますが、介護保険で行う居宅療養管理指導の場合、事前の届出は不要で保険薬局であれば行うことができます。このことを保険薬局であれば請求可能とみなす、いわゆる「みなし指定」と言ったりすることもあります。

 

 

在宅訪問を行う場合、訪問先に個人宅以外に高齢者向けの住宅などがあります。高齢者向けの住宅には、グループホームや老人ホームなどがありますが、施設の種類によっては保険請求ができなかったり、請求方法が異なることがあります。

 

例えば、同じ日に同一建物に住む患者1名だけ訪問した場合と同じ日に同一建物に住む複数の患者を訪問した場合、それぞれに算定される点数は異なるためです。

 

在宅訪問には、時間と手間がどうしてもかかるため、限られた時間で有効に在宅訪問を行うには、訪問の効率性を上げなければなりません。このとき最も効率がよいのは、同じ日に同じ建物内の複数の患者を訪問する方法です。

 

具体例を挙げると、同日内に同じマンション内に住む患者を一気に訪問するやり方です。一方、個人宅を1軒1軒、訪問する場合もあります。

 

したがって、この状況から前者の請求点数よりも後者の請求点数が高く設定されています。また、高齢者向けの施設の種類によっては保険請求の可否が異なる場合もあります。したがって、介護保険の有無の他にも施設の確認が必要になります。

 

在宅医療を行う事前の準備として、介護保険を持っているかどうかと訪問する施設状況の確認は必ず行わなければなりません。

 


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