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新しいネット販売ルール

ネット販売は便利な部分もありますが、医薬品使用における安全性の確保が最重要課題となってきます。そのため、平成26年6月12日からの施行に合わせて、新しい販売ルールが作られました。

 

新たなルールでは、医薬品の区分を見直し、使用に特に注意が必要な一部の医薬品を要指導医薬品という新しい区分を設けて対面販売にのみ限るとし、第1類、第2類、第3類医薬品のすべてをインターネットや電話などで販売することができるようになりました。

 

 

要指導医薬品

要指導医薬品にはスイッチ直後品目劇薬が含まれます。スイッチ直後品目とは、医療用医薬品から移行した医薬品ですが、一般用医薬品としての使用実績が少ないために、一般用医薬品としてのリスクが確定していないものや医療用として使用経験がない医薬品のことを指します。要指導医薬品は薬剤師による対面販売が必要となりますが、原則3年の安全性調査を行い、安全性が確認されれば一般用医薬品に移行します。

 

医薬品の品質保持の観点から、誰でもネットを介して販売できる状態ではいけません。そのため、販売する側ネット販売する側においても条件が規定されています。誰でも医薬品を販売できる訳ではないため、オークション形式での販売は行うことができないことになっています。

 

ネット販売できるのは、以下の条件が義務付けられています。

<インターネット販売できる条件>

  • 薬事法により、薬局または店舗販売業の許可を受けている実店舗を持つ薬局・薬店であること。
  • 実店舗は週30時間以上開店していること。
  • 実店舗は、購入者の見やすい場所に店舗名などの標識があること、購入者が容易に出入りできる構造であることなど、薬事法の基準を満たしていること。
  • 薬剤師または登録販売者が常時、配置されていること。
  • インターネットで販売できる医薬品は、実店舗に貯蔵・陳列している医薬品であること。
  • インターネットのほかに、対面や電話での相談体制を整備していること。

などがあります。

 

また、一般用医薬品をインターネットで販売する場合、ウェブサイト上に次の事項を表示・掲載することが義務づけられています。

<販売サイトでの主なルール>

  • トップページに店舗の名称を表示すること。
  • 実店舗の写真を掲載すること。
  • 現在勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名などを掲載すること。
  • 許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)を掲載すること。
  • 営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を掲載すること。

 

一般用医薬品は医療用医薬品に比べて、安全性は高いとされていますが、SJSやTENなどのように重篤な副作用を引き起こす可能性もあります。

 

また、消費者の訴える症状に対して、適切な医薬品が使用され、情報が提供されないと効果が得られないだけでなく、副作用の危険性が高まってしまいます。このように一般用医薬品の安全使用と適切な情報提供のために以下のようなルールが作成されました。

<適切な情報提供・販売のためのルール(実店舗での販売も同様)>

  • 購入者が情報提供内容を理解した旨を確認すること。
  • 購入者に再質問がない旨を確認すること。
  • 妊娠中など薬の服用に注意が必要な場合を掲示・表示すること。
  • 乱用などのおそれのある医薬品(風邪薬や咳止めなど)は販売個数を制限すること。
  • 使用期限を表示すること、使用期限切れの医薬品の販売は禁止。
  • オークション形式での販売は禁止。
  • 購入者によるレビュークチコミ、レコメンド(推薦)は禁止。

 

 

ネット販売における具体的な購入の流れ

ネット販売では対面販売と異なり、相手の様子を確認しながら販売することができません。これがネット販売では長所でもあり短所でもあります。この短所の部分を最小限にするために、できるだけ実店舗と同様の販売を行わなければなりません。以下に具体的な購入の流れを示していきます。

 

@    使用者の状態等の確認
薬剤師は、第1類医薬品の販売を行う際、医薬品を使用する人の状態などを確認することが義務付けられています。このため、購入者に対して以下の事項を確認します。

  • 性別、年齢
  • 症状
  •  副作用の有無やその内容
  • 持病の有無やその内容
  •  医療機関の受診の有無やその内容
  • 妊娠中あるいは授乳中であるか否か
  • その他気になる事項(自由記載)など

 

 

A    使用者に応じた個別の情報提供
薬剤師は、使用者の状態などに応じて個別の情報提供をメールなどを通じて行います。第2類については、個別の情報提供は努力義務となります。情報提供では、以下のような事項について説明を行います。

  • 用法・用量
  • 服用上の留意点(飲み方や長期に使用しないことなど)
  • 服用後注意すべき事項(○○が現れた場合は使用を中止し、相談することなど)
  • 再質問等の有無

 

 

B    提供された情報を理解したことの確認
購入者は、薬剤師から提供された情報を確認し、必要であればメールや電話により疑問の確認や相談を行います。その後、提供された情報を理解したことや再質問・相談はない旨をメールなどで連絡します。

 

 

C    販売(商品の発送)
薬剤師などの専門家は、提供した情報提供について、購入者が理解したかどうかを確認してから、商品を販売します。第2類医薬品、第3類医薬品の販売は、薬剤師もしくは登録販売員が使用者の状態などを確認して判断し、ABの手続きを経ずに販売することができます。

 

 

 


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