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薬事法改正からインターネット販売の経緯

平成18年に薬事法が改正され、一般用医薬品をリスク区分に応じて、リスクの高いほうから第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の3つに区分することになり、第三類医薬品を除いて一般用医薬品のインターネット販売は禁止されました。

 

平成18年の法改正前までは、インターネット等による販売を禁止する規定はなく、厚生労働省の通知によってビタミン剤、胃腸薬、消毒薬などの一部医薬品に限り、インターネット等による販売が認められていました。しかし、通知の範囲を超えて販売が行われていたのが実態にあり、規制に必要性が出てきたため、平成18年度の法改正に至りました。

 

しかし当然のことながら、この改正で困る人たちが出てきました。これまでずっと一般用医薬品を購入して使用していた人たちや離島などで販売する場所がないまたは遠方に住んでいる人たちです。

 

そこで、これらの方の救済措置として、医薬品の購入を継続していた人や離島居住者には経過措置が数年間とられましたが、ネットで購入する医薬品を制限されると不便であることに変わりはありませんでした。

 

平成21年、インターネット販売を運営する業者が、医薬品を制限なく販売できるよう国を相手に裁判をおこしました。1審では合法(薬事法の通り通販は禁止)でしたが、2審では違法(通販はO.K)と結審され、2013年に最高裁が2審を支持する結果となりました

 

また同年の日本再興戦略などを踏まえて、消費者の安全を確認しながら医薬品のインターネット販売ができるよう、平成25年12月に薬事法が改正され、平成26年6月12日から新しい販売ルールが適用され、医薬品をインターネットで購入できることになりました

 

 

ネット販売の利点と欠点

ネット販売の利点は、365日24時間注文可能で自宅まで郵送してもらえることです。離島などの僻地に住む方や療養や介護で外出できない方にとっては非常に便利な販売形式です。

 

実際、高齢化が進んでいて僻地が増えてきている状況にあります。通院や買い物に出かける際に何時間もかかったり、周りの人たちと乗合わせたりしています。移動式の販売が行われることもあるようですが、地域が限られたり、医薬品は取り扱っていないことが多いです。

 

このような状況に対して、医薬品の流通に対して、ネットは非常に有益な販売方法と言えます。

また、ネット販売ではプライバシーの確保が容易になります。例えば、水虫の治療薬育毛剤などなるべく他の人に知られたくないような医薬品でもネット販売ではこっそりと買うことができます。

 

ネット販売の欠点は、使用者の安全性が確保できるか不透明な部分があることです。ネットでは購入者の顔や言動は確認できません。対面販売では見た目で明らかに販売するべきではないような人に対しても、ネットでは確認する術がなく、販売してしまったり、未成年者などのなりすましによる購入・乱用も想定されます。

 

他にも欠点として、医薬品の質の確保が挙げられます。通常医薬品の取り扱いは薬剤師登録販売員などが行うことが義務付けられており、医薬品の保管が問題ないか施設基準も存在しています。

 

ネット販売では医薬品の保存状態が透明化できず、本当に適切に保管できているか分からなくなってしまう危険性があります。医薬品によっては冷蔵保存や冷凍保存など特殊な保存方法で保存しなくてはならない医薬品もありますが、ネット販売では適切に保存されているか確認できません。

 

したがって、ネット販売で医薬品供給を適切に行っていくためには、ネット販売における欠点を最小限とするルールが必要となります。

 

 


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