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医療用抗原検査キット

新型コロナウイルス感染症による特例的な対応として、医療用抗原検査キットを薬局で販売できるようになりました。

 

目的

新型コロナウイルスの感染拡大する中、より精度の高い抗原検査キットを入手しやすくして、確実な医療機関の受診につなげることで、感染拡大を図ることが目的です。

 

これまではドラッグストアやインターネットなどで販売されていた検査キットは、診断を目的としたものではなく研究用と称する製品で、これらは性能等を確認されたものではありませんでした。
今回特例的な対応として薬局で取り扱いが認められたのは、薬機法で承認を得ている医療用抗原検査キットで、感度も特異度も高く、本来は医療機関等での使用が想定されているものになります。家庭等で体調が気になる場合等にセルフチェックとして自ら検査を実施できるようになりました。

 

薬局で販売するにあたっての留意点

医療用抗原検査キットは、薬機法における薬局医薬品として取り扱われます。
販売にあたり以下の点に注意しなければなりません。

・薬剤師により、必要な情報提供や薬学的知見に基づく指導を行うとともに、適正な使用を確保できないと認められる場合は、販売又は授与してはならない。
・販売した数量や日時、情報提供や指導の内容を理解したことの確認結果を保存する。

したがって、薬剤師側としては丁寧な説明を行い、販売にあたっての記録の保存等を適切に行う必要があります。品名、数量、販売の日時等を記載した書類は2年間保管しなければなりません。

 

販売個数は、特に規定はありませんが、他の薬局からの購入等の状況を確認した上で、適正な使用のために必要と認められる数量に限って販売することとされています。
また、販売価格は社会的に見て妥当適切なものとすることとされています。通常ひと箱あたり10~20個入で販売していますので、薬局で零売する形になります。ちなみに今のところ私の薬局では1個あたり2,3千円程度を予定しています。

 

また、抗原検査キットは、症状が出ている者にのみ使用し、無症状者に対する確定診断には推奨されていません。有症状者であってもウイルス量が少ない場合には、感染していても、結果が陰性となる場合があります。
そのため、以下の点に注意する必要があります。

・陰性であったとしても、偽陰性の可能性も考慮し、症状がある場合には医療機関を受診する。
・症状がない場合であっても、引き続き、外出時のマスク着用、手指消毒等の基本的な感染対策を続ける。

なお、体調不良等の症状を感じる者が購入のために来局することは、感染対策の観点から避けるべきですので、可能であれば症状のない(できれば発症者と接触していない)代理の方が購入に来るのが望ましいと考えられます。

 

検体の採取方法

鼻腔ぬぐい液の自己採取により検体を採取します。
他者による検体採取は感染等のリスクを伴う可能性があり、また、鼻咽頭(鼻の奥)ぬぐい液の自己採取は危険かつ困難であるため、鼻腔ぬぐい液の自己採取によって行います。

 

陽性が出た場合は?

陽性が出た場合は医療機関を受診します。
このとき他者を感染させないよう注意しましょう。なお、本キットの診断は確定診断ではありません。

 

陰性が出た場合は?

陰性であったとしても、偽陰性の可能性も考慮し、症状がある場合には医療機関を受診します。また、有症状者であってもウイルス量が少ない場合には、感染していても、結果が陰性となる場合がありますので、引き続き、外出時のマスク着用、手指消毒等の基本的な感染対策を続けていく必要があります。

 

さいごに

以上、本キットはCOVID-19の確定診断ではなく、受診を促す補助診断ツールになります。その後の対応や治療については医療機関の判断になりますが、薬局を大いに利用し、いろいろな情報を手に入れてほしいと思います。
私たち薬剤師も感染拡大を防ぎ、大切なひとを守ることに一役担うことができれば幸いだと感じています。


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