薬局のしごと/くすり/病気に関する情報発信サイト

慢性副鼻腔炎にマクロライド系抗菌薬

 

慢性副鼻腔炎に対して、クラリスロマイシンに代表されるマクロライド系抗菌薬少量で長期投与が行われることがあります。通常の抗菌薬は、必要十分量を短期間で使用するという使い方になりますが、上記の治療はこの考えに相反するものとなります。

 

慢性副鼻腔炎とは、膿性鼻汁、後鼻漏、鼻閉などが3か月以上持続するものを言います。このような症状においてマクロライド系抗菌薬の少量長期投与が行われますが、その作用のメカニズムとしては、抗菌薬自体の抗菌作用ではなく、抗炎症作用、免疫系への作用、細菌のバイオフィルム形成・付着抑制作用などが、慢性副鼻腔炎に対して奏功している考えられています。

 

本治療法の場合、マクロライド系抗菌薬は常用量よりも少ない投与量で十分な抗炎症作用が得られることが確認されていますが、その抗炎症作用を示すまでには2〜3か月を必要とすることが明らかになっています。そのため、どうしても長期的な投与が必要となり、治療の目安は3か月となっています。

 

しかし、マクロライド系抗菌薬が抗炎症作用を示すとは言え、その作用は14員環系マクロライド抗菌薬だけに特有の作用となります。15員環や16員環のマクロライドにおいてはこうした作用は認められていません。

 

14員環系
エリスロマイシン(エリスロシン)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、ロキシスロマイシン(ルリッド)

 

15員環系
アジスロマイシン(ジスロマック)

 

16員環系
ジョサマイシン(ジョサマイシン、ジョサマイ)、ロキタマイシン(リカマイシン)など

 

一方、エリスロマイシン(商品名:エリスロシン)は14員環ですが、酸に不安定のため、投与量を増やす必要があります。そのため、長期的に投与を行っていくと考えると、副作用発現の危険性を避けるためには少量で投与を継続できる薬剤の方がこの治療法には適しています。
したがって、クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッド)ロキシスロマイシン(商品名:ルリッド)酸に安定のため少量投与が可能であり、有効性も高いということから、この治療法における選択される場合が多くあります。

 

さらに、抗生剤だけではなく、慢性副鼻腔炎の排膿を促す目的で去痰薬のカルボシステイン(商品名:ムコダイン)が同時処方されることもあります。カルボシステインは副作用はほとんどなく、長期処方に適した薬剤です。同薬は「慢性副鼻腔炎の排膿」として保険適用が認められています。

 

このように慢性副鼻腔炎に対する少量長期のマクロライド系抗菌薬の治療は、その薬剤自体の抗菌作用ではなく、抗炎症作用を期待した治療方法です。

 


HOME サイト概要 プロフィール お問い合わせ