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加味帰脾湯

体力が中等度以下から虚弱の人で、もともと胃腸の弱い虚弱体質で血色の悪い人の貧血や心身の過労による精神不安神経症不眠症に効果があります。

 

構成生薬

人参、白朮、、茯苓、竜眼肉、当帰、柴胡、甘草、大棗、生姜、牡丹皮、酸棗仁、黄耆、遠志、山梔子、木香

 

本剤は帰脾湯に柴胡・山梔子を加えたものです。人参・酸棗仁は消耗性疾患による心悸亢進、不眠、精神不安を改善します。

 

白朮は胃腸虚弱な人の、食欲不振、腹部膨満感、下痢に効果があり、黄耆は人参とともに疲労感、病後の体力低下などに効果があります。

 

茯苓・甘草は心悸亢進、息切れ、精神不安、不眠を改善します。

 

竜眼肉・酸棗仁は心身過労による不眠、健忘に効果があり、遠志・酸棗仁・竜眼肉は精神安定を図る作用があります。

 

木香と人参は胃の活動をさかんにします。これと柴胡と山梔子を加えて熱感のある場合に用いられます。

 

効能・効果

体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:
貧血、不眠症、精神不安、神経症

 

処方解説

本剤は、精神的ストレスにより心身ともに疲れ切った状態を改善することができます。現代の働く女性で、ストレスのよる精神不安が強く、貧血傾向で疲れやすい症状がある方に向いていると言えます。また、女性の更年期障害などでクヨクヨと思い悩むようなタイプにとって効果があります。一方、イライラとしているタイプには本剤よりも加味逍遥散が適しています。

 

臨床症状として、微熱、血色が悪い、胸が苦しい、貧血、不眠、精神不安、食欲不振などの症状に対して改善を期待することができます。

 

他にも本剤の適応にはありませんが、血小板数減少を改善する効果があると考えられており、抗がん剤治療における副作用の軽減にも使用されることがあります。

 

また、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を中止すると離脱症状を起こすことがありますが、本剤はその症状を改善することができます。したがって、本剤は抗がん剤や向精神薬による副作用の軽減を目的として使用されることもあります。

 

 

使用上の注意

使用してはいけない人

生後3カ月未満の乳児

 

慎重投与

食欲不振、悪心、嘔吐のある人

 

注意すべき副作用

偽アルドステロン症

 

 


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