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薬事法

私たちは日常生活の中で医薬品と密接に関わっています。風邪をひいたときは風邪薬を飲みますし、生活習慣病にかかっていれば、治療薬を毎日服用して健康を維持しようとします。医薬品は私たちの健康に生活していくためには欠かすことができないものと言えます。

 

医薬品は生命や健康に直接的に関わっていますので、品質、保存、使用方法、流通などにおいて特別な管理が行われる必要があります。そのため、医薬品を規制する法律を薬事法といいます。

 

薬事法は、医薬品だけでなく、医薬部外品、化粧品医療機器にまで及んでおり、これらの品質、有効性および安全性の確保のために必要な規制を行います。

 

その他にも医療上で必要性が高い医薬品や医療機器がある場合は、薬事法における必要な措置を講ずることにより、研究開発を促進させ、医療を向上させる役目も担っています。

 

このように医療や医薬品と関わる上では、薬事法は必ず守らなければならないルールとなっています。

 

 

医薬品の定義

薬事法における医薬品とは、薬事法第2条によって次のように定められています。

<医薬品の定義>
1.日本薬局方に収められている物。
2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む)でないもの(医薬部外品を除く)。
3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く)

 

日本薬局方(局方)とは、医薬品の性状及び品質の適正を図るために作成された医薬品の規格基準書です。つまり、「日本で使用されている医薬品の代表的なものにはこのようなものがあり、このような性状をしていて、このような試験をすることで品質や純度などを確認することができます」というような内容を公的に認めた文書と考えることができます。

 

局方には医療上で重要と認められている医薬品の品質、強度、純度などの基準を定められていて、その時代に重要とされる医薬品が収載されています。現在使用されている医薬品は、すべて局方に収載されているわけではなく、局方外に収載されない医薬品も多数存在しています。

 

局方の歴史は古く、100年以上の歴史があり、初版は明治時代に公布された後、医薬品の開発、試験技術の向上に伴い数年おきに改定され、現在にいたっています。2014年時点で第十六改正版まで公布されています。

 

 

医薬部外品

薬事法において医薬品、医薬部外品及び化粧品は区別されています。医薬部外品の以下のように示されています。

<医薬部外品>
1.吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
2.あせも、ただれ等の防止
3.脱毛の防止、育毛又は除毛
4.人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止
これらの目的に使用されるもので、かつ人体に対する作用が緩和な物であって器具器械でないものとなります。また、これら以外のものであっても厚生労働大臣の指定するもの(染毛剤、パーマネント・ウェーブ用剤、浴用剤など)は医薬品となることもあります。

 

OTC薬などは医薬品に入り、医薬部外品ではありません。医薬品との違いを考えるとき、医薬部外品は効果が認められる成分が含まれてはいるものの、医薬品ほどの効果は期待できず、治療目的ではなく予防・衛生目的に使用されるものと考えられます。

 

例えば、医薬品における保湿剤は、皮膚に潤いを与えて、乾燥状態を治療するものになりますが、医薬部外品の場合は、保湿剤は化粧水のようなも感じで日常の肌のお手入れで使用し乾燥を予防していくものとなります。ちなみに「薬用」と表示があれば、それは「薬用=医薬部外品」とされています。薬用化粧品という名称であれば、医薬部外品となり、化粧品とだけ名称であれば、化粧品として取り扱われます。

 

また、滋養強壮のドリンク剤にはビタミン類やカフェインが使用されています。これらの成分は効果が認められており、本来なら医薬品となります。しかし、2009年6月の薬事法改正により規制が緩和され、医薬品から医薬部外品として取り扱われるようになりました。このような医薬部外品を指定医薬部外品と呼ばれています。

<製品例>
ビタミン剤、のど清涼剤、薬用化粧品、ヘアカラー、歯周病・虫歯予防効果のある歯磨き粉など

 

 

化粧品

化粧品は、医薬部外品よりもさらに効能・効果が緩和なものとなります。化粧品は薬事法では以下のように示されています。

<化粧品>
人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされる物で、人体に対する作用が緩和なもの。

 

化粧品の効能・効果は緩和ではありますが、アレルギー反応や刺激性が問題となることがあります。そのため、過去にアレルギーなど報告がされている成分に関しては、表示指定成分として表示するように義務付けられてきました。

 

しかし、2001年4月から化粧品は製造に使用した成分について表示するが全成分表示が義務付けられるようになりました。成分表示は含有量の多い順に表記されています。

<製品例>
浴用石鹸、基礎化粧品、シャンプー、歯磨き粉など

 

 

医療機器

医療機器は薬事法において以下のように示されています。

<医療機器>
1.人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されるもの。
2.人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるもの。

 

医療機器は、診断・治療・予防のために人だけでなく動物に使用されるものも含まれています。

<製品例>
ペースメーカー、電子体温計、人工呼吸器、MRIなど

 


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