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チャンピックスによる禁煙治療

 

喫煙すると、たばこに含まれるニコチンが急速に体内に取り込まれ、中枢神経系のα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する。すると、快楽に関わる脳内神経伝達物質であるドパミンが大量に放出され、強い快感が得られる。このため、喫煙者は再び快感を得たいと思い、喫煙を繰り返す。

 

禁煙補助薬として、α4β2ニコチン受容体部分作動薬のバレニクリン酒石酸塩(チャンピックス)がある。
バレニクリンは、禁煙開始予定日の1週間前から服用を始め、徐々に服用量を増やしていく。通常、1~3日目は、0.5mg1錠を1日1回食後服用、4~7日目は0.5㎎1錠を1日2回朝夕食後に服用する。1~7日目は喫煙していてもよい。
8日目から14日目は禁煙し、1㎎1錠1日2回朝夕食後服用する。
1~14日目までのバレニクリンをセットにした「チャンピックスタート用パック」もある。なお、バレニクリンの服用期間は12週間である。

 

バレニクリンの主な副作用は、吐き気、頭痛、上腹部痛、便秘、腹部の張り、普段と違う夢をみる、不眠などであり、消化器系および精神神経系が多い。
こうした副作用症状によって治療が持続できない場合について、バレニクリンのインタビューフォームには、「嘔気等の発現により本剤の忍容性に問題が認められた場合には、0.5㎎1日2回に減量し、患者の状態を十分に観察したうえで、本剤の投与量の調製を行うこと」と記載されている。この場合、禁煙自体は継続することとなっている。

 

バレニクリンによる禁煙治療においては、通常12週間に5回医療機関に通院するスケジュールになっている。治療開始から2,4,8週間後にきちんと受診することが服用を継続し、禁煙治療を成功させるために重要である。

 

バレニクリンの服用開始から8日目以降に禁煙が始まるが、禁煙は治療の有無を問わず、不快や抑うつ、不眠、怒り、不安、落ち着きのなさ、食欲増加、体重増加などの様々な症状を伴うことが報告されており、こうした症状が治療中断の要因になりえるため、注意しておきたい。

 


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