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貧血に対するピロリ菌除菌の効果

 

原因不明の鉄欠乏性貧血でヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、ピロリ菌)が陽性の人にピロリ菌の除菌治療を行うと、貧血が改善することが1990年代から報告されている。

 

ピロリ菌は、胃粘膜に感染して炎症を引き起こす。ピロリ菌感染で鉄欠乏性貧血が起こるメカニズムとして、成人においてはピロリ菌が産生するIL-1βの上昇やウレアーゼ、胃粘膜委縮による低酸症、胃内のアスコルビン酸濃度の低下、血清ヘプシジン値の増加などが起こり、結果として上部小腸からの鉄吸収が低下するとされている。

 

しかし、ピロリ菌による慢性胃炎を有する小児おいて、胃酸分泌の低下の原因である重度の胃粘膜萎縮はまれであり、実際、これらの小児の胃酸分泌はピロリ菌感染がない小児と同等である。

 

ピロリ菌感染による鉄欠乏性貧血の報告は主として、成長とともにスポーツをする機会が増加し鉄需要が高まる思春期に多い。
ピロリ菌感染による鉄欠乏性貧血に対しては、経口鉄剤単独投与群よりも経口鉄剤投与に除菌療法を併用した群の方が血清フェリチンやヘモグロビン値の改善が認められた。

 

ガイドラインによると、ピロリ菌感染が証明された小児の鉄欠乏性貧血貧血では、鉄欠乏性貧血の再発例や鉄補充療法に抵抗する場合に除菌療法を推奨している。

 

小児における1次除菌のレジメンは、クラリスロマイシン感性である場合は、プロトンポンプ阻害薬、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの3剤併用。
クラリスロマイシン耐性の場合は、クラリスロマイシンの代わりにメトロニダゾールを用いるよう推奨している。

 


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