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シクロデキストリン

シクロデキストリンとは?

シクロデキストリンは、グルコースが連なってできたオリゴ糖がさらに繋がって輪っかのように結合したものをいい、シクロデキストリン(CD)という名前は環状という意味を指すシクロ(cyclo)+オリゴ糖を指すデキストリン(dextrin)という語句を組み合わせたものに由来します。CDは後で詳細を述べますが、様々な性質があり、この性質を活用し、CDは医薬品等に応用されています。

 

 

シクロデキストリンの性質

CDはオリゴ糖が環状に連なっている構造をしており、構造的にはちょうどフタと底がなくなったカップのような形をしています。外側は水に溶けやすい親水性を示し、その内側は油分に溶けやすい親油性をもつ二重構造となっています。CDの内側は小さい物質が入り込めるような構造になっていて、内部に様々な分子を取り込むことを包接といいますが、CDは水に溶けない物質を内側に包接することで水に溶解させることができるようになります。このように本来水に溶かすことができない物質をCDが可溶化させることができる性質を利用し、医薬品の製剤化に応用されることがあります。

 

一方、可溶化させるだけでなく、包接することで紫外線、熱、酸化などから保護することも可能となります。そのため、CDは不安定な物質の安定化させることもできます。気体や液体を包接すると、安定した粉末にすることができるようにもなり、この性質を医薬品に応用することができます。

 

また、安定化させるだけでなく、強い臭いや苦味があるものを包接によって保護することもできます。これをマスキングと呼んでいますが、本来臭いや苦味が強くて服用しにくい薬剤であってもCDでマスキングすることで服用が容易となります。

 

したがって、CDの性質に応じて以下の目的で医薬品の製造に応用させることができます。

①安定化、②安定化、③粉末化、④揮発防止、⑤マスキングなど

 

 

 

α、β、γのそれぞれの特徴

CDはグルコースが環状に結合したものですが、一般的には6〜8個のグルコースが結合していることが多く、結合しているグルコースの数によりα、β、γの3つに分けられます。グルコースが6つ結合したものをα-CD、7つ結合したものをβ-CD、8つ結合したものをγ-CDといい、これらは性質がそれぞれ異なっており、その性質を活用し、医薬品等に応用されています。

 

α-CD 性質:難消化性、水溶性

α-CDは消化されにくく、水に溶ける性質を示し、ちょうど食物繊維と同じような作用をもつため、ダイエットサプリに応用されています。食事中の余分な油分を包接し、体内への吸収を抑え、体外への排出を促進します。さらに何も包接していないα-CDは大腸で消化されにくい性質があり、整腸作用を示します。

 

β-CD 性質:難消化性、難水溶性

β-CDは消化されにくく、水に溶けにくい性質を示します。β-CDは芳香剤に応用されています。あらかじめ、心地よい香りがする物質を包接しておき、汗の臭気によってその物質が徐々に放出されていき心地よい香りが感じられるようにしていきます。そして、その香りを放出した後に臭い匂いを包接することで匂いをシャットアウトできるようになります。

 

γ-CD 性質:消化性、水溶性

γ-CDは消化され、水に溶ける性質を持っています。γ-CDはEPAサプリなどに応用されています。本来EPAには魚独特の生臭さがあり、そのまま服用するにはその匂いのために飲みにくい物質です。そこでCDを利用してEPAを粉末化しカプセル化することで、魚独特の臭いをなくし、有効成分を効率的に摂取できるようになります。

 


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