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エフメノカプセル(一般名:プロゲステロン)

名称の由来

エフメノ(F-meno)は、英語の「女性」を意味する female ならびに「閉経」を意味する menopause を組み合わせて命名した。(エフメノカプセルインタビューフォームより)

エフメノカプセルの開発の経緯

エフメノプセルは黄体ホルモンの経口製剤です。適応は更年期障害および卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制になります。

 

女性は年齢とともに思春期・性成熟期・更年期・老年期の4つのライフステージを経験すると言われています。個人差はありますが50歳前後で閉経を迎え、閉経後の時期をはさんだ前後の10年間(45~55歳)を更年期と言います。

 

女性は更年期になると肩こりや疲れやすさのほか、のぼせや発汗などの症状がみられます。更年期を迎えると、閉経後は卵巣機能が急激に低下してエストロゲンを分泌できなくなります。そうするとホルモンバランスが保てなくなり、身体的に色々な症状が現れてきます。このエストロゲンの急激な低下が更年期が起こる原因の一つと考えられています。
このほかにも性格に起因する心理的因子、仕事や家庭環境などに起因する社会的因子なども複合的に重なることで更年期症状を発現すると考えられています。

 

更年期症状の主な原因がエストロゲンの減少であることから、エストロゲンを補充することでホットフラッシュなどの更年期症状を改善する方法がとられます。これをホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)といいます。
しかし、HRTでエストロゲン製剤を単独投与すると、卵胞ホルモンの子宮内膜増殖作用により、有子宮女性における子宮内膜癌(子宮体癌)を発症する危険性が明らかになりました。

 

そのリスクを軽減する方法として、卵胞ホルモン製剤に黄体ホルモン製剤を併用することで発症が抑制できることが判明したため、国内外でHRTでは卵胞ホルモン製剤と黄体ホルモン製剤を併用することが標準療法となっています。

 

HRTに使用される卵胞ホルモン製剤には、エストラジオール(ジュリナなど)、エストリオール(エストリール、ホーリンなど)がありますが、更年期障害に適応をもつ黄体ホルモン製剤はありませんでした。
そのため、HRTには適応を有しない合成黄体ホルモン製剤が使用されるかもしくは更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(ホットフラッシュおよび発汗)に適応をもつ卵胞ホルモンと黄体ホルモンの外用配合剤であるメノエイドコンビパッチを使用して治療を行っていました。

 

このことから、HRTで使用可能な黄体ホルモン製剤の開発が急務であることから、日本産科婦人科学会および日本更年期医学会から要望書が提出されました。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議」で高い評価を受けて開発が進められ、今回日本国内で初の黄体ホルモン製剤として承認に至りました。

 

製剤学的特徴と薬理作用

本剤は、通常投与では吸収されにくい天然型黄体ホルモン(プロゲステロン)をマイクロナイズド化(微粒子化)することで、経口投与によっても吸収できるようになっています。

 

プロゲステロンの薬理作用は、以下のように考えられています。
①子宮内膜上皮細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合してエストロゲン受容体の遺伝子発現を抑制する
②子宮内膜間質細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合して線維芽細胞増殖関連因子の産生を抑制する

 

そうすることによって、エストロゲン受容体が制御する細胞増殖関連因子の産生を抑制し、卵胞ホルモンによる子宮内膜上皮細胞の増殖を抑制すると考えらえています。

 

 

用法用量

本剤の用法及び用量は卵胞ホルモン剤との併用において、以下のいずれかを選択することとされています。
【持続的投与法】
(1)卵胞ホルモン剤の投与開始日から1日1回100mgを就寝前に投与
【周期的投与法】
(2)卵胞ホルモン剤の投与開始日を1日目として、卵胞ホルモン剤の投与15日目から28日目まで1日1回200mgを就寝前に投与し、これを1周期として、以後この周期を繰り返す

 

 

副作用

副作用として、不正子宮出血(33.5%)が起こりやすく、回転性めまい、下腹部痛、腹部膨満、便秘、悪心、腹部不快感、背部痛、頭痛、浮動性めまい、傾眠、乳房不快感、膣分泌物、乳房痛、外因膣掻痒症などがあります。
重大なものとして、血栓の可能性があるので注意が必要です。

 

食後に投与すると、最高血中濃度(Cmax)および血中濃度時間線下面積(AUC)が上昇するため副作用が起こりやすくなります。そのため、食後投与を避ける必要があります。


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