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溶連菌感染症

溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌の感染によって起こる扁桃炎の1つです。頻度の多さから一般的に溶連菌感染症は、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)による感染症のことを指します。化膿レンサ球菌はA群レンサ球菌(GAS:Group A Streptococcus)ということもあります。

 

流行期は5~7月と12月から3月ですが、それ以外の期間でも感染します。感染者の多くは小児ですが、成人でも感染することがあります。

 

溶連菌は感染力が非常に強く、くしゃみやせきから唾液が飛び、それを吸い込むことで感染する飛沫感染と発疹などを直接触ることで感染する接触感染があります。そのため、保育園や幼稚園などの集団生活を行う場では感染リスクが高いため注意する必要があります。

 

主な症状はとして下記の症状があります。

  • のどが赤く腫れて痛む。牛肉のような赤みの扁桃炎
  • 高熱
  • 頭痛
  • 食欲がない
  • 粟粒大のブツブツ
  • いちご舌(舌にイチゴのように赤く腫れる)
  • 中耳炎

 

 

 

診断

急性咽頭炎の原因にはウイルス性と細菌性があります。ウイルス性の場合、成人に多く、細菌性の場合は小児に多いです。ウイルス性の場合、抗生剤の投与は必要なく、細菌性の場合は抗生剤の投与を行わなくてはいけません。したがって、治療方針に大きく関わってくるためウイルス性と細菌性の判別は重要となります。

 

ウイルス性か細菌性かの判別方法にCentorの基準という診断法があります。この基準によると、①発熱、②圧通を伴う前頚部リンパ節腫脹、③咽頭に白苔がある、④咳がない、以上の4項目全てが揃えば75%程度で細菌性と判断することができます。

 

また、溶連菌の迅速診断キットがあり、このキットを使用することで溶連菌感染の診断をすることができます。使用方法は咽頭をこすって検体の採取を行います。迅速診断キットの感度は80~90%、特異度は90%とされており、陽性が出れば抗生剤を開始します。

 

 

治療法

治療法として、抗生物質を服用し溶連菌を体内から排除を行います。

 

抗生剤を2~3日服用すると症状は軽くなりますが、溶連菌の場合は十分な日数分の薬を飲ませないと再発したり、リウマチ熱腎炎の発生の可能性があります。そのため、通常は抗生剤を10日間継続服用することになります。

 

溶連菌はペニシリンに感受性があるため、ペニシリン系抗生剤を使用します。ペニシリン系抗生剤を使用する際、注意すべき点にペニシリンアレルギーがあります。アレルギー反応の中、アナフィラキシーショックは頻度としては非常に少ないのですが、投与してまもなく頻脈、気道閉塞、低血圧といった症状が起こることがあります。死亡率が高いため、気をつけなくてはなりません。

 

ペニシリンアレルギーがある場合には、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗生剤を使用します。

 

 

処方例1)サワシリン細粒(100㎎/g) 1回 30㎎/kg 1日3回 10日分

 

<ペニシリンアレルギーがある場合>
処方例2)クラリスドライシロップ(100mg/g) 1回100㎎ 1日2回 10日分

 


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