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統合失調症

統合失調症は若い年齢層に初発が多く、思春期〜青年期に発生することが多い疾患です。幻覚、妄想などの陽性症状や感情鈍麻、自発性消失、自閉などの陰性症状のほか、認知機能障害を呈する疾患です。日本では2002年までは精神分裂病と呼ばれていました。

 

病態は不明な点が多いですが、ドパミンの過剰伝達が原因とするドパミン仮説が今のところ広く受け入れられています。中脳辺縁系の過剰活動により陽性症状が生じ、中脳皮質系の活動抑制により陰性症状が生じると考えられています。

 

脳内のドパミンを伝達物質とする神経経路には4つ経路があると考えられており、@中脳辺縁系、A中脳皮質系、B黒質線条体系、C漏斗下垂体系の4つがあります。

 

@中脳辺縁系
中脳腹側被蓋野(A10)から辺縁系の側坐核になどに至る経路で、欲求が満たされたときに快感を生じる報酬系と関係しており、薬物依存や嗜癖にも関連する部分になります。機能が過剰になることで陽性症状が生じると考えられています。

 

A中脳皮質系
中脳腹側被蓋野(A10)から前頭葉皮質などに至る経路です。ワーキングメモリーや注意・集中などの認知機能に関連しており、機能が低下することにより、陰性症状や認知機能障害を生じると考えられています。

 

B黒質線条体系
黒質(A9)から線条体に至る経路です。運動機能に関連しているため、機能が低下することによってパーキンソン病抗精神病薬によるパーキンソニズムが生じると考えられています。

 

C漏斗下垂体系
視床下部(A12)から下垂体に至る経路です。機能低下によって高プロラクチン血症が生じると考えられています。抗精神病薬の副作用による原因がこの経路の機能低下によるものと考えられています。

 

 

陽性症状と陰性症状

陽性症状は正常な機能が亢進することで起こる症状のことを言います。例えば、通常何気なく行っている活動である見える・聞こえる・考えるが過剰になることで、幻覚・幻聴・妄想となって症状として現れます。

 

陽性症状は、統合失調症の急性期にみられることが多い症状で、主な症状に幻覚妄想(誰かに悪口を言われているなどの被害妄想)、自我障害(自分の考えがばれていると考えること、誰かに操られていると感じること)、思路の異常(支離滅裂な思考)などがあります。

 

一方、陰性症状は陽性症状とは反対に正常な機能が低下もしくは消失する症状を言います。感情や意欲などの低下によって起こり、慢性期に多くみられる症状です。

 

陰性症状には感情鈍麻(状況に合った喜怒哀楽が失われる)、自発性消失(一日中何もせずに過ごし、退屈を感じない)、自閉(自分の世界に閉じこもる)、思考・会話の貧困(発語量の減少したり内容が乏しくなる)などがあります。

 

 

認知機能障害

私たちは、外の世界からの情報を知覚し、獲得、理解し、反応することで、作業を行ったり問題解決を行ったりあるいは記憶したりしています。認知機能障害によって、遂行機能、問題解決能力、順序だった思考、集中力、言語性記憶、ワーキングメモリー(作業記憶)、言葉の流暢性などが障害されてしまいます。

 

認知機能障害は統合失調症の基礎的な障害と考えられており、症状が悪化すると日常生活が困難となるため、予後の悪化に注意しなくてはなりません。

 

 

統合失調症の治療

統合失調症は、症例により様々な経過をたどりますが、再燃と寛解を繰り返し、慢性化し、社会適応能力が低下していってしまいます。しかし、発病後最初の5年間が最も再燃が多く、機能低下も著しいですが、早期に治療を開始することで予後の改善を期待することができます。

 

そのため、統合失調症の治療は早期から薬物治療を開始して再発を予防し、社会適応能力を維持・向上させ、社会的予後を改善させることを目標とします。

 

一方で、薬物治療に使用する薬剤では副作用が起こりやすく、副作用の発現により患者自ら服用を中止したり、患者のQOLを損なってしまうことも多々あります。そのため、いかに薬物治療を継続させていくかも重要な因子となります。

 


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