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流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふく風邪)

流行性耳下腺炎(おたふく風邪)ムンプスウイルスが原因のウイルス感染症で、耳下腺顎下腺などの唾液腺の腫れが特徴的です。ムンプスウイルスに一度感染すると通常は生涯に渡って免疫が持続しますが、成人で再感染することもあります。成人で感染すると、髄膜炎、脳症または精巣炎などの合併症を起こし、重症化するため注意が必要です。
通常、おたふく風邪は5〜10歳の幼児が感染することが多く、2歳未満の幼児に感染することはまれです。冬の終わりから春先にかけて流行することがあります。

 

ウイルス感染してから14〜24日後に症状が現れ、悪寒、頭痛、食欲不振、発熱、倦怠感がみられます。これらの症状に続いて12〜24時間後唾液腺の腫れが出てきて、5〜7日間続きます。唾液腺の腫れは片側だけのときもあれば両側とも腫れることもあります。また時期がずれて両側に腫れが見られることがあります。腫れるとものを噛んだり飲み込んだりするときに痛みがあり、触っても痛みを感じます。また、柑橘類などの酸っぱい液体を飲むと痛みがあるのも特徴的です。

 

おたふく風邪は学校伝染病の第二種伝染病に含まれており、耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまでは出席停止となっています。
ほとんどのおたふく風邪は問題なく回復しますが、髄膜炎、脳炎、精巣炎、膵炎、ムンプス難聴などの合併症を起こすことがあります。

 

思春期以降に感染した男性に精巣炎が起きることがあります。精巣の炎症により痛みが強く、おたふく風邪が治癒した後に精巣が小さくなることもあります。精巣が小さくなってもテストステロンの産生や生殖機能障害は起こらないとされています。

 

ムンプス難聴はムンプスウイルスが内耳感染することによって起こります。急に発症し、難聴が片側に起こることが多く(両側に起こることもある)、発症が小児の場合だと本人も周囲の者も発症に気づいていないことがあります。初期の段階では周波数の低い音は聞き取ることができますが、重度になると聴力が急激に低下して、高い音が聞き取りにくくなります。ムンプス難聴は一度かかってしまうと治療が困難なため、ワクチン接種などによる予防が重要になります。

 

 

治療

おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。そのため、治療は発熱や痛みを軽減することを目的として行います。
頭痛、発熱および痛みを和らげるためにアセトアミノフェン製剤(カロナール、アンヒバ坐剤など)イブプロフェン(ブルフェン)を使用します。おたふく風邪は小児が感染することが多く、比較的安全に使用できるカロナールやアンヒバ坐剤の頓服処方を行われるケースが多いようです。また、冷やすことで痛みが和らぎますので氷のうなどで冷やすのも効果的です。

 

精巣炎を起こした場合は安静にしておく必要があります。腫れた部分を固定し、冷やすことで痛みが和らげることができます。

 

 

予防

おたふく風邪はワクチンの接種により予防することが可能です。現在日本では1歳以上の小児への任意接種(予防接種法による定めはなく、自由意思による接種)となっています。地方自治体によってはワクチン接種に対する助成を行っているところもあります。

 

弱毒ムンプス生ワクチン(弱毒性おたふく風邪ワクチン)は生後12ヵ月後から接種可能です。欧米では2回接種の有効性が報告されていることから、1回目接種して3〜5年後に2回目を接種することが推奨されています。

 

1988〜1993年まで、おたふく風邪のワクチンとして麻疹(measles)、おたふく風邪(mumps)、風疹(rubella)の3種類が混合された生ワクチン、いわゆる頭文字をとってMMRワクチンが使用されていました。しかし、ムンプスワクチンによる副反応で無菌性髄膜炎の発生率が高くなることが報告されたため、現在では個別に接種が行われるようになっています。2006年4月からムンプスワクチンを除いた麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)が使用されています。

 


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