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ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは発熱と口腔粘膜に水疱疹を特徴的とする急性のウイルス性咽頭炎です。原因ウイルスはエンテロウイルス属に属するコクサッキーウイルスA群であることが多く、コクサッキーウイルスB群、エコーウイルスであることもあります。手足口病の原因ウイルスも同様のエンテロウイルスで多く起こり、口腔粘膜に水疱疹が見られます。手足口病の場合は、口腔粘膜以外に手や足にも水疱疹ができるのが特徴です。

 

ヘルパンギーナは夏かぜの代表的疾患の1つで、乳幼児を中心に夏季に流行し、6月~8月頃にピークを迎えます。感染すると2~4日の潜伏期があり、突発的な38℃程度の発熱が起こり、咽頭痛が出現します。発熱は2~3日間続きます。次第に口腔内に小水疱が出現し、やがて破れて痛みを伴うようになります。この痛みによって、乳幼児では不機嫌になったり、食物を飲み込む際の痛みを避けるために拒食や哺乳を拒否するようになることがあります。結果、脱水症状を起こすことがあります。ヘルパンギーナは夏場に好発するため、汗をかきやすく脱水症状になりやすい状態にあるので水分摂取には十分に注意をする必要があります。

 

発熱や水疱疹の他に嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。しかし、症状は全体的に軽症で、予後良好な疾患です。まれにヘルパンギーナで無菌性髄膜炎急性心筋炎を合併することがあり、この場合は注意が必要となります。
無菌性髄膜炎は発熱、頭痛、嘔吐などを発現します。1時間に4~5回以上嘔吐し、激しい頭痛を呈する場合は医療機関を受診する必要があります。
急性心筋炎では、急に心臓の働きが悪くなり心不全を発現します。血圧が低下している、不機嫌で元気がない、顔色が悪い、高熱の割に心臓の拍動が遅いなどの症状を呈する場合は、医療機関を受診する必要があります。

 

 

治療

現在のところヘルパンギーナに対する特異的な治療法はなく、対症療法が基本となります。発熱にはアセトアミノフェンが使用されます。二次感染防止を目的に抗生剤が使用されることもあります。また、ヘルパンギーナは前述したとおり、夏季に流行しやすく脱水症状を起こすことがあるので、熱中症の対策も合わせて水分補給が大切です。

 

家族など身近な所に感染者がいる場合は、密接を避け、流行時には手洗いやうがいを行うなどの予防を行うことも重要です。

 

 

ヘルパンギーナにかかったときの登園・登校は?

ヘルパンギーナは5類感染症定点把握疾患に定められていて、指定届出機関から毎週報告が行われています。しかし、ヘルパンギーナは学校において予防すべき伝染病の中に明確に規定されておらず、罹患しても出席停止扱いとはなりません

 

ヘルパンギーナは一度感染すると、長期にわたって便からウイルスが排出されるため、急性期にのみ登園・登校を停止しても流行を阻止するのは難しいと考えられます。しかし、ヘルパンギーナはほとんどが軽症であるため、登園・登校については本人の状態によって判断し、本人が元気であれば出席は可能となります。

 

ヘルパンギーナの感染後に登園・登校する場合は、トイレ後の手洗いやうがいなどを徹底し、周囲への感染をできるかぎり予防することが必要です。

 


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