薬局のしごと/くすり/病気に関する情報発信サイト

うつ病(DSM-5)/大うつ病性障害

気分障害のうち、うつ病相のみが現れるもので、薬物療法は抗うつ薬の単剤投与が基本。

 

疫学・好発
日本での障害有病率は約7%、女性が男性の約2倍の頻度
好発年齢は20代前後の若年者が多いが、日本では中高年者の初発も多い。
病前性格として、メランコリー親和型性格、執着性格が知られている。

 

初発のうつ病相は、その後躁病相が現れて双極性障害に移行する場合がある。大うつ病性障害と双極性障害では治療が異なるため、注意して経過を追う。

 

精神症状が不明瞭で、身体症状を主訴とする場合(仮面うつ病とよばれる)も少なくないため、注意を要する。

 

<病前性格>
病気になる前のその人の本来の性格・気質・ある性格的特徴は、特定の精神疾患の発症と関連があるとされ、その性格的特徴の有無を確認することで診断の補助となる場合がある。ただし、DSM診断では病前性格を考慮しない。

 

<メランコリー親和型性格>
うつ病患者に多い病前性格とされている。几帳面で勤勉、良心的で責任感が強く、対人関係では他者に気を遣い衝突を避けるといった特徴がある。

 

<執着性格>
うつ病患者に多い病前性格とされている。仕事熱心で凝り性、徹底的で正義感や責任感が強いといった特徴がある。

 

病態生理
個体の脆弱性(遺伝+後天的因子)に誘因が加わることで発症すると考えられている。
病態は未解明で、モノアミン仮説、神経細胞新生仮説などの仮説が立てられている。

 

症状・所見
抑うつ気分、興味関心の低下、睡眠障害、食欲不振/過食、精神運動性の抑制/焦燥、易疲労性、気力減退、思考力・集中力減退、無価値、自殺念慮など

 

検査・診断
精神症状と経過により診断される。今日ではDSM-5やICD-10が用いられることが多い。
症状の評価にはHAM-D、Beckうつ病自己評価尺度などが用いられる。

 

治療・管理
軽症例では基本的に支持的精神療法と疾患教育を行い、必要に応じて薬物療法を行う。中等症以上では積極的に薬物療法を行う。
1休養
2薬物療法:抗うつ薬の単剤投与が基本。状態に応じ新規抗精神病薬や抗不安薬などを併用する。
3精神療法:疾患教育、支持的精神療法、認知行動療法、復職リハビリなど
4修正型電気けいれん療法(mECT):自殺念慮、昏迷、精神運動興奮などの重症例、難治例で適応となる。

 

<支持的精神療法>
傾聴、共感の伝達、助言、保障、説明などの支持的対応を通じ、患者が本来持つ機能(自尊感情、自我機能、適応能力など)を最大限発揮できるように働きかける。精神医学的治療の基礎となる精神療法である。

 


HOME サイト概要 プロフィール お問い合わせ