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注意欠陥・多動性障害(ADHD)

注意欠陥・多動性障害(ADHD:attention-deficite / hyperactivity disorder)とは、不注意、多動性、衝動性を中核症状とし、7歳以前の小児期に発症する発達障害のことをいいます。

 

不注意とは、集中力が続かなくなり、気が散ったり、忘れっぽい症状をいい、この症状が強くなると忘れ物が多くなったり、授業に集中できなくなったりするといった行動をとることがあります。

 

多動性は、じっとしているのが苦手で落ち着かなくなる症状をいい、落ち着きがなくなり授業中に立ち回ったり、授業中にじっと座っていることができず、体を動かさずにはいられないといった行動をとってしまうことがあります。

 

衝動性は、行動を思いつくとよく考えもせず、すぐに行動してしまう症状をいいます。衝動性が強くなるとちょっとしたことで大声を上げたり手をあげたりするなどの乱暴な行動をとってしまいがちになってしまいます。

 

日本人におけるADHDの有病率は6~7%と言われており、男女差は4:1で男児に多いとされています。その差は年齢とともに小さくなり、成人期においては男女差はほとんどないとされています。

 

ADHDの発症には、70%以上で遺伝的要因が関与しているといわれており、ドパミン系とノルアドレナリン系の機能が低下し、前頭前野・線条体・小脳などの働きが弱くなることが病因と考えられています。そのため、薬物治療では、中枢神経刺激薬によりこれらの働きを改善しようという方法がとられます。

 

 

薬物治療

ADHDの薬物治療における、第一選択薬はメチルフェニデート(商品名:コンサータ)とアトモキセチン(商品名:ストラテラ)となっています。

 

メチルフェニデートは、以前国内ではリタリンという商品名で使用されており、うつ病ナルコレプシーという睡眠発作の治療薬として使用されていました。メチルフェニデートには中枢神経刺激作用があり、この作用はアンフェタミンやメタンフェタミンと同様の薬理作用となります。メチルフェニデートは脳内のドパミン濃度を上昇させ、快感や高揚感をもたらします。そのため、リタリンの濫用が社会的に問題となるがありました。さらにリタリンは急激な効果を発現し、それにより依存性の形成することも問題となっていました。

 

そこで、メチルフェニデートをゆっくりと溶けるような徐放性製剤として開発し、ADHDに保険適応をもつコンサータが開発されました。

 

コンサータは服用後1~2時間後から効果が発現し、約12時間効果が持続します。朝食後1日1回18rから開始し、食欲不振、不眠、頭痛、チック、心電図異常、けいれん誘発などをチェックしながら、2週間ごとに54rまで増量することができます。ただし、覚醒作用があるため午後以降に服用することで夜間に眠れなくなってしまうことから必ず朝食後に服用することになっています。

 

コンサータの適応年齢は6~12歳までとなっていますが、2011年に小児からの継続投与を条件に18歳以上の投与が認められました。

 

しかし、コンサータはどこの医療機関や薬局でも手に入るものではありません。コンサータはADHDに精通して、薬物依存のリスクについても十分管理できる医師・医療機関による処方に限られ、さらに十分な知識がある管理薬剤師のいる薬局で調剤されなければならないとされています。そのため、コンサータを取り扱う医師・医療機関・薬局は登録制となっていて、コンサータの国内の流通が厳しく管理されています。

 

一方、ストラテラは、コンサータに比べると作用発現までに時間がかかります。1日2回投与で投与2週間目から症状改善が認められ、6~8週間後に最大効果が現れるとされています。ストラテラは効果発現まで時間がかかりますが、効果が現れれば安定した効果を長く得ることができます。

 

ストラテラはノルアドレナリントランスポーターという、ノルアドレナリンを再吸収する仕組みをブロックすることでノルアドレナリン濃度を上昇させます。また、ノルアドレナリンだけでなくドパミン濃度も上昇させる効果もあります。

 

ストラテラは濫用や依存性形成のリスクが低い薬剤です。そのため、コンサータの濫用が疑われたり、コンサータの使用を望まない場合はストラテラが使用されます。

 

ストラテラは18歳未満の患者において1日2回投与で、0.5r/kg/日から開始し、副作用が発現していないか確認しながら、1週間以上の間隔をあけ、維持量の1.2~1.8r/kg/日まで増量していきます。18歳以上の患者においては1日1回または2回投与で、40mg/日で開始し、1週間以上あけて80rに増量します。その後は2週間以上あけて80~120r/日で維持していきます。

 

ストラテラの副作用として、食欲不振や吐気、めまい、眠気、鎮静、心拍数増加、肝障害などが報告されています。

 

このようにADHDの薬物治療には、コンサータやストラテラが使用されます。

 


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