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在宅医療と栄養

低栄養の判断基準
血液中のアルブミンの量で判断する。
3.5g/dL以下で低栄養、3.8g/dL以下で低栄養予備軍とする。

 

アルブミン

正常値:4〜5g/dL、肝臓で合成される。血液浸透圧の調整があり、肝疾患等で低値になると、浮腫がおこる。肝機能や栄養状態の指標とされている。

 

アルブミン以外の基準に、BMI<18.5、6ヶ月以内に3%以上または2〜3kgの体重減少があった、出された食事を1/4以上残すなどの項目があり、各施設で独自に基準を設けている。

 

低栄養とされる高齢者90%がひとり暮らしか高齢者世帯であることが判明している。高齢者の「孤食」が低栄養の危険を高くするとされている。現在核家族の形態が多く、高齢者と別居しているケースが多い。高齢者が孤食とならない環境作りを積極的に作っていく必要があると言える。

 

 
低栄養の問題点
生理機能の低下、感染に対する免疫力の低下、褥瘡になるリスクの増加がある。
75歳以上の方については介護予防のためにも、栄養状態を改善する必要がある。

 

<褥瘡のリスク因子について>
低栄養が最も大きく、続いてベッド上での寝たきり、皮膚の蒸れ、骨突出、浮腫、糖尿病が報告されている。

 

<高齢者の低栄養状態の実態>
施設入所している者の4割、在宅の高齢者の3割以上で低栄養状態が確認されている。

 

 
高齢者における食事の意義
食べることにより、栄養を補給するだけにとどまらず、生きる意欲を実感する意味合いがある。また、実際に食べる動作を行うことで筋肉を動かすこと、食を介してコミュニケーションを広げる意味合いもある。

 

 
加齢に伴う能力低下

味覚

味覚が鈍くなり、濃い味付けを好むようになる。塩分を取り過ぎは高血圧へつながる。

 

視力、聴覚、嗅覚、触覚

料理の見た目や匂いなどに感覚が鈍くなり、結果的には食欲減退につながる。また、触覚が低下することから、やけどの危険性が高まる。

 

噛む力の衰え

噛めるものしか食べないようになり、偏食がちになり、栄養バランスが崩れる。

 

喉の渇きに鈍くなる

脱水症状を起こしやすい。汗をかきやすい夏場は特に注意が必要。

 

飲み込む力が弱くなる

むせやのどのつかえにつながる。誤嚥性肺炎の原因にもなる。

 

唾液、消化液の分泌量の減少

胃腸の働きが低下し、消化不良、下痢、便秘になる。結果的に食欲低下にもつながる。

 

 
高齢者の栄養
若年者(18〜29歳)における必要な摂取カロリーは若年者で2650kcal/day(女性:1950kcal/day)で、高齢者(70歳〜)は1850kcal/day(女性:1450kcal/day)となっている。身体活動レベルと基礎代謝量の違いから摂取カロリーには差が大きい。

 

しかし、蛋白質、カルシウム、鉄、VB1、VCについては若年者も高齢者もほとんど変わらない。したがって、年齢に応じて食事の中身を変える必要がある。若い時の食事の内容のまま量だけを減らすと栄養不足を起こす可能性が高い。高齢になるほど、カロリーを抑えかつ栄養を十分に摂取できるような食事内容にする必要がある。

 

 
高齢者の食事の問題点
油っぽい食事は胃がもたれて食べられないなどの理由から主菜(たん白源)であるおかずを残して、ご飯や漬物など、あっさりと食べられる食事に偏りがちになる。
高齢期の食事は、摂取カロリーは最低1300kca/dayを目標として筋肉や血液の栄養となるたん白質は55〜60g/day、整腸作用のある食物繊維は13g/1300kcalが必要である。さらに水分補給を最低1300mL/dayが必要。脱水症状になると唾液の分泌量が減少したり、血液の粘度が上がるので脳梗塞を起こしやすくなる。

 

<解決策>
足りない栄養素に流動食を追加する。具体的に医薬品の場合はエンシュアやラコール、食品の場合は、ファインケアやメイバランスミニなどを用いる。常食1食分を常食の半分の量のハーフ食+濃厚流動食にしている病院や施設も多くある。濃厚流動食は、バランス良くすべての栄養素が摂取できるため、主食(ご飯、お粥)しか食べられなくなったときは、蛋白・ビタミン源として濃厚流動食を捕食とすると十分な栄養が摂取できる。

 

   

 

 
高齢者の食事形態
食べられない場合は、流動食等で栄養管理(経管・胃ろう)を行う。

 

食べにくい場合は、調理法の工夫により形態や状態を調節すると食べられる。

噛みにくいとき

歯を損失したり、あごの筋肉が弱ると噛み砕くことが困難となる。
<対策>食べ物を煮たり刻んだりして、やわらかくしたり小さくする。

 

飲み込みにくい

脳梗塞の後遺症などにより、舌の機能が低下したり、嚥下機能が低下していたりする。
<対策>とろみをつけ、食物をまとめて、滑らかにする。

 

飲み込みにくい場合に誤嚥しやすい食事例

  • 水分→最もむせやすい。
  • かたい食物繊維
  • スポンジ状→水分が出てくる 例:高野豆腐
  • かまぼこ状→弾力がありすぎて危険
  • クッキー状→口の水分を吸収してしまう
  • かたい豆→喉に詰まりやすい
  • 酸味・辛味→刺激でむせやすい
  • パラパラしたもの 例:チャーハン
  • 付着性の強いもの 例:のり

 

飲み込みにくい方に求められる食事

  • 均一なもの→レーズン入りのアイスクリームなどのようにやわらかい部とかたい部分があると飲み込みにくい。
  • 適当な粘度があってバラバラになりにくい。
  • 変形しやすく、のどを通りやすい→例:プリン
  • べたつかず滑りがよい→餅はのどなどにくっつくため、窒息のおそれがある。
  • 栄養バランスがよい。

 

 

食事を食べやすくする工夫
噛む力や飲み込む力が衰えている方が食事を食べやすくするまたは飲み込みやすくするサポートする方法として、とろみ剤ゲル化剤を使用する方法がある。

 

とろみ剤はお茶などサラサラしたものが飲みづらい方が使用するととろみがついてむせにくくなる。粉末状のとろみ剤をとろみをつけたいもの(お茶等)に、入れて混ぜると2〜3分程度でとろみがつけることができる。

 

ゲル化剤はとろみの状態とは違い、ゼリー状にすることができる。とろみ状態でも飲み込みが難しい方や誤嚥の危険性がある方に使用すると便利。粉末状のゲル化剤を固めたいものに混ぜて使い、商品によっては加熱や冷蔵が必要な場合がある。

 

また、これら以外にレトルト介護食がある。一度調理したものをミキサーで砕いてから再び固めたりして作られている。これまで美味しくなさそうとかやわらかい食べ物というイメージがあったが、現在の介護食は、栄養士の努力によって、固めて形づけたり、調理法を工夫したりして、食欲が湧く食事作りに取り組んでいる。国内の有力な食品関連企業も協力しており、美味しく食べられるような商品開発が進んでいる。

 


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