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 臨床研究論文を読むときに着目する項目とは?

生物統計学は薬学教育モデル・コアカリキュラムにも含まれていて、薬学部生のうちに習得すべき項目となっています。調剤薬局で仕事をする際にも、添付文書に記載されている内容を上手に読み解くために統計学の知識は必要となります。

 

本講義の最終ゴールは添付文書をうまく読み解けるようになることとし、主な内容として、主要評価項目、信頼区間、オッズ比、相対危険度などを説明できるようになることになります。

 

 

主要評価項目、副次評価項目とは?

臨床研究論文を読む際に、最も重要視しなければならない項目は主要評価項目です。一次エンドポイントといったりもします。

 

主要評価項目は、その臨床研究を実施する目的そのものになります。臨床研究が行われる以前に設定されます。この臨床研究によって確認されたことは事実として認識されるようになります。薬の効果が得られたかがこれによって判断されます。

 

主要評価項目に差がなかった論文については、いくらサブ解析等で有意差がついていたとしても疑ってかかる必要があります。

 

副次評価項目(二次エンドポイント)は、ついでに行う検証項目を指します。副次評価項目で検証されたことは事実としての認識に至らないとされます。

 

主要評価項目を男女別、年齢別などで細分化して調べたりして、探索的な項目事項となります。臨床研究終了後、有意差がついた項目を調べたりします。

 

副次評価項目が事実として認識されるためには、別の試験で一次エンドポイントとして、検証しなければなりません。

 

しかし、副次評価項目やサブ解析等は研究者の都合の良い項目だけを選んでしまうバイアスが生じやすくなり、偶然性による誤差も大きいと考えられます。

 

副次評価項目、サブグループ解析は見せ方によって偏った解釈を与えるような加工を施すことができるため、この点を加味して論文を読む必要があります。

 

主要評価項目では、有意差が出ていないにもかかわらず、副次評価項目やサブグループ解析で有意差が出た結果を強調している論文には注意する必要があります。

 

 

臨床研究論文バイアスの実際

「動機が何であれ、主要評価項目で統計的に有意な違いがなかったにもかかわらず有益性を強調したり、有意差が無いことから読者の注意を逸らさせる特殊な報告戦略」のことをSPIN(都合のよい解釈)という概念で取り扱っています。

 

医学論文を読む際に、論文を熟読する時間がなかったり、無料で配布されていることからアブストラクトだけを読んで論文内容を把握することが多くあります。しかし、アブストラクトの中には真の結果を誤って解釈させるように、仕組まれているものも存在します。

 

したがって、アブストラクトにSPINが含まれることは重要な意味をもち、アブストラクトのみで臨床上の判断としないように注意しなければならない。

 

 

SPINの実際例

2006年12月〜2007年3月に出版された、RCTの優越性試験において主要評価項目に関して有意性を得られなかった72論文の実際に調査を行ったところ、対象の58%がアブストラクトの結論を副次評価項目やサブグループ解析の結果を強調し、治療効果を印象づける行為が行われていた。

 

主要評価項目の結果のみを読んで差がなければ、どちらの治療法でも大差はないということができます。主要評価項目で有意差はなかったが、副次評価項目で有意差があった場合、偶然性やバイアスが大きかったとも考えられます。

 

実際、副次評価項目を主要評価項目として試験を行うと、有意性が出なかった例も存在します。

 


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