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エリキュースの非劣性試験

非弁膜症性心房細動患者18,201例を対象に、アピキサバン5mg1日2回又は対照薬としてワルファリン(INR 2.0〜3.0となるように適宜調節)を投与した二重盲検群間比較試験を実施した。

 

主要有効性評価項目である脳卒中又は全身性塞栓症の初回発現までの期間を指標にアピキサバンのワルファリンに対する非劣性検証した(非劣性マージン=1.38及び有意水準0.025(片側))。

 

Intention-to-treat集団を対象に解析した結果、
発現率はアピキサバン群1.27%/年に対しワルファリン群1.60%であり、

 

有効性に関してワルファリンに対し21%の抑制(ハザード比(HR)0.79、95%信頼区間(CI)0.66〜0.95)が確認され、本剤の非劣性が確認された。

(エリキュースの添付文書より)

 

 

Intention-to-treat(ITT)集団を対象に解析

臨床試験を開始すると、副作用や症状の悪化などにより途中で中止になる場合があります。中止になると、無作為に均等に割り付けを行った2群間で偏りを生じ、解析にバイアスを生じることがあります。

 

そこで、臨床試験の開始時の無作為化を維持したまま解析を行い、ドロップアウトした人も含めて解析をすることでバイアスを最小限にする解析方法をITT解析といいます。

 

臨床研究の結果を見る際、ITT解析の結果であるかを確認することが重要になります。ITTを含めて解析しているということは、均等に割り付けができた状態での解析結果とみることができます。

 

 

臨床的に効果が同等である範囲(−Δ〜+Δ)

非劣性試験は最近国内の臨床試験で多く行われています。
通常新薬の有効性を示そうとする場合、標準薬よりも効果が上回っている必要があり、統計学的に有意でなければなりません。これを検証する試験を優越性試験といいます。

 

これに対して非劣性試験は、標準薬と比べて優越性を証明できないとしても、劣っていないことを証明する試験をいいます。

 

非劣性を証明するために信頼区間を用い、事前に設定した非劣性マージン(Δ=0.1や10%とされることが多い)に信頼区間の片側が入っているかで判断されます。

 

非劣性マージンは臨床試験を始める前に設定しておく必要があります。今回の試験の場合、エリキュースがワルファリンよりも効果がある場合は+Δよりになり、エリキュースがワルファリンに効果が劣る場合は−Δよりになるという見方になります。

 

 

 

上図にあるように、非劣性を示す場合は、新薬が標準薬に対して劣っていなければよいとことを示すことなので、信頼区間の片側が非劣性マージンより小さい(−Δを越えない)こと示さなければなりません。

 

また、優越性を示す場合は、違いがないという値(この図の場合1)を含まないことを示す必要があり、同等性を示す場合は、信頼区間がマージンの中にすべて入る(−Δ〜+Δに信頼区間が存在する)ことを示す必要があります。

 

添付文書から、非劣性マージン=1.38で95%信頼区間が0.66〜0.95となっていて、1を越える結果が得られています。この結果から、エリキュースの非劣性が確認されたとみることができます。

 


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