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保険薬局とは?

保険薬局は日本国内に5万6千軒も存在しています(2012年時点)。コンビニは全国に4万6千軒であることから、保険薬局が国内にいかに多く存在しているかが分かります。

 

保険薬局は医師が発行した処方せんに基づき、保険調剤を行うことで報酬を得ています。また、保険薬局は医療提供施設と位置づけられており、調剤業務以外に健康相談や助言を行ったり、一般医薬品の販売、市販後調査の協力なども行っています。

 

保険薬局の他にも単に薬局と呼ばれるものがあったり、ドラッグストアと呼ばれるものもあります。これらのちがいについて以下述べていきたいと思います。

 

 

薬局の形態と取り扱われる医薬品

保険薬局、調剤薬局、ドラッグストアと広義の意味で薬局と呼ばれるものはいろいろな形態がありますが、実際に明確なちがいがあります。

 

まず薬局を開設するにあたって、薬局開設許可が必要で都道府県知事の許可が必要となります。薬局と称するものは全てこの許可が必要となります。一方、ドラッグストアや薬店等は開設許可ではなく、店舗販売許可を必要となります。

 

保険薬局、調剤薬局、ドラッグストアは名称から、どのような機能を有しているか推測することができます。

「薬局」という名称は開設許可があり、薬剤師が常駐する調剤室を備えているという、いわゆる調剤を行うことができる機能を有する薬局のみが使用することができます。

 

調剤機能がなく、一般用医薬品の販売を主として行うような施設は「薬局」という名称を掲げることはできず、多くは「薬品」、「ドラッグ」、「クスリ」などの語句を使用しています。このように名称だけでも、薬局の機能をある程度知ることができます。

 

また、施設内で取り扱うことができる医薬品にも規定が定められています。

薬局では全ての医薬品を取り扱うことができ、調剤に使用される医療用医薬品以外に一般用医薬品も販売できます。

 

しかし、店舗販売業では一般用医薬品のみが取り扱いが可能で、医療用医薬品を取り扱うことができません。薬剤師が常駐していれば、全ての一般用医薬品を取り扱うことができます。

 

登録販売者では一部の医薬品を取り扱うことできなかったり、登録販売者もいなければ、一般用医薬品を販売することはできません。一部、ドラッグストアでありながら、調剤併設型のドラッグストアも存在しますが、この場合は薬局開設許可薬剤師の常駐が必要となります。

 

医療用医薬品

医師若しくは歯科医師によって使用され又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品をいいます。

一般用医薬品

一般用医薬品とは、医療用医薬品として取扱われる医薬品以外の医薬品をいいます。一般の人が薬局等で購入し、自らの判断で使用し、その多くは安全性が確保できる成分を配合しています。

 

 

調剤薬局と保険薬局のちがい

調剤薬局も保険薬局のどちらも薬剤師が常駐しており調剤行為を行いますが、健康保険を使って保険調剤を行うかどうかのちがいになります。薬局が健康保険による保険調剤を行うためには、厚生労働大臣から権限委任された地方厚生(支)局長の指定を受ける必要があります。また、保険調剤を行う薬剤師は登録された保険薬剤師でなくてはいけません。

 

保険薬局は保険医が発行した処方せんに基づいて保険調剤を行いますが、調剤薬局は保険調剤を行うことはできず、単なる”調剤”のみを行うことしかできません。

 

つまり、保険薬局は調剤行為に関して、保険請求をすることができますが、調剤薬局は保険請求をすることができません。保険薬局で調剤を行ってもらうと健康保険が適応されるため、多くの患者は一部負担金を支払いますが、保険請求できない調剤薬局で調剤を行ってもらうと、全額自費となります。

 

そのため、現実的には保険請求できない調剤薬局は、調剤による報酬を得ているところはほぼ存在せず、多くが薬局製剤を製造・販売を行っています。

 

 

薬局製剤

薬局では薬局製剤を製造・販売することができますが、全ての医療用医薬品を使って自由に製造・販売できる訳ではありません。あらかじめ、製造・販売できる品目は決められており、事前の承認が必要となります。

 

薬局で製造した漢方薬風邪薬などを販売するケースがあります。薬剤師は医師のように患者の訴えを聴き、診断を下すことはできませんが、患者の訴えを聞いた上で適切な薬を選択して製造・販売しているという解釈になります。

 

薬を受け取る際に支払う代金は、保険薬局では健康保険を使用していることから3割負担であることがほとんどですが、薬局製剤の代金については健康保険が適用されないことから全額自己負担となります。

 

全額負担となる分の金銭的な負担は増えますが、薬局製剤を購入することは、薬剤師と話し合い納得して自分に合った薬を選択できるため、大きなメリットといえます。

 

 

その他の保険薬局の役割

保険薬局の主な業務は調剤や一般用医薬品の販売を通じて医薬品の供給を行ったりしますが、これ以外の役割も担っています。保険薬局は医薬品の市販後調査に協力しなければなりません。

 

医薬品は多くの時間とお金を費やして臨床試験を行った上で開発されます。しかしながら、臨床試験において確認できなかった有害事象もあり、市販後多くの患者に使用されて確認できる有害事象もあります。

 

そのため、製薬会社は市販後も有害事象はないか調査を行い、医薬品の使用により有害事象を知り得た場合は報告することが義務付けられています。

 

この制度を医薬品等安全情報制度といっています。薬局は有害事象を確認したときは、その情報を報告する役割を担っています。

 

他にも薬局は地域医療の中心施設として、地域の公衆衛生の向上に貢献しなければなりません。

そのため地域の健康に関する相談を行ったり、薬に関するセミナーを行うこともあります。また、学校薬剤師として学校の環境衛生検査を行ったり、保険指導を行うこともあります。

 

 

まとめ

このように「薬局」と名称があっても、機能が違うことがあることを理解できたかと思います。

 

薬局がどのような機能を持ち、どうようなことを行っているのかを理解をすることで自分の目的に合わせて薬局を利用することができるようになります。

 

例えば、処方せんの調剤を行ってもらう場合は調剤薬局を選択し、頭痛や歯痛がする場合やけがをして急に医薬品が必要になった場合ドラッグストアを選択する方が適しています。

 

薬局はあくまで医療提供施設であり、国民の健康に資する施設でなければなりません。薬局は医薬品の供給のみではその目的達成は不十分で、日頃健康や薬について気になることがあれば、積極的に薬局で相談を行っていくべきです。

 

体調が悪くなれば、すぐに病院を受診するというのではなく、まず薬局に相談するということになっていけば、医療費を抑えるという意味でもとても大きな意味のあることと思います。

 

薬局を活用して自己の健康維持を行っていってほしいと思います。

 

 


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