プラザキサと消化器症状
ダビガドランエテキシラートメタンスルホン酸塩(プラザキサ)は、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制を目的に使用されます。
同効薬のワルファリンカリウム(ワーファリン)と比較して、
- 血液検査結果に基づく投与量の調整が不要であること
- ビタミンK含有食品や薬物代謝酵素チロクロームP450(CYP)を介した薬剤との相互作用が少ないこと
- 頭蓋内出血リスクが低いこと
などの利点があります。
一方で、ダビガドランに特徴的な副作用として、胸やけなどの上部消化管の症状が知られています。
プラザキサはカプセル剤で食道にとどまりやすいと考えられています。
そこで滞留したカプセルから、ダビガドランの吸収を高めるために添加されている酒石酸が溶出し、粘膜障害を起こす可能性が指摘されており、これが原因ではないかと考えられています。
しかし、酒石酸が添加された他の薬剤で同様の消化器症状が必ずしも多く認められるわけではないため、プラザキサの消化器症状の原因は明確にはなっていません。
上部消化管の症状への対策として、カプセルの食道滞留を回避し、確実に胃に送る服薬指導が有用であると報告されている。
薬剤師がコップ1杯程度の多めの水またはぬるま湯で服用するように指導した場合、上部消化管の症状を評価したスコアが有意に低く、症状の発現が少なくなったことが報告されています。
また、服薬タイミングも上部消化管の症状の出現に影響を与えることを示唆する臨床試験の報告もあり、上部消化管の症状が発現した症例において、食事中に服用するようにしたところ、症状の抑制が確認されました。
なお、ダビガドランの添付文書の用法・用量には、服用時点に関する記載はありません。
したがって、ダビガドラン服用に伴う上部消化管の症状に対しては、コップ1杯程度の多めの水で服用する、あるいは服用するタイミングを食後から食事の途中に変更することで症状の改善が期待できます。
両方を行うと、より確実に胃に送り込めるようになると考えられます。