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塩酸セルトラリン (商品名:ジェイゾロフト)

どんな薬か?

塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト)は、SSRIの第一選択薬として使いやすい薬剤です。本剤は、他の薬剤との相互作用が少ないことと副作用が少ないため、比較的安全性が高いためです。ただし、効果はマイルドであり、他のSSRIに比べて弱めの抗うつ作用を示します。

 

本剤は、「うつ病・うつ状態」および「パニック障害」に対する効果が認められています。セロトニン再取り込み作用だけでなく、ドパミン再取り込み阻害作用を示します。ドパミンは意欲学習に関連しており、脳内のドパミン濃度を上昇させることで、やる気や集中力を引き出すことができます。

 

うつ病の症状には、意欲の低下、興味・関心の喪失、過眠、過食などの症状をきたすことがあります。本剤はこのような症状を示す患者に対して、効果が期待できるとされています。

 

副作用は、消化器症状が多く、悪心・嘔吐・腹部膨満感・下痢などの症状が発現します。しかし、SSRIの中では副作用は少なく、さらに服用を継続することで症状が消失するケースが多くあります。ただし、高齢者では、出血傾向の増強等が起こるおそれがあるため、注意が必要となります。肝機能、腎機能低下を考慮した用量設定を行う必要があります。

 

併用禁忌

MAO阻害薬(エフピーなど)、ピモジド(オーラップ)

 

まとめ
  • 副作用が少なく、相互作用も少ないことから、SSRIの第一選択薬として使用されやすい。
  • ドパミン再取り込み阻害作用があることから、意欲の低下、興味・関心の喪失、過眠、過食の改善が期待できる。
  • 高齢者では、出血傾向の増強がおそれがあるため、肝機能、腎機能を考慮した用量設定が必要となる。

 

 

 

エスシタロプラムシュウ酸塩 (レクサプロ)

どんな薬か?

エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ)は、「うつ病・うつ状態」に対して効果が認められており、副作用や相互作用は他のSSRIと比較的に少ない薬剤です。そのため、前述のジェイゾロフトと同様に第一選択薬として使いやすい薬剤でもあります。抗うつ作用についても比較的強い薬剤になります。また、うつ病・うつ状態以外に月経前不快気分障害にも有効であるとの報告がありますが、適応外となっています。

 

本剤の特徴は、何と言っても初期用量が治療用量である点です。他のSSRIは治療効果や副作用の発現を確認しながら、1週間以上あけて増量し、2ステップで治療用量にもっていきますので、治療域まで早くても2週間かかります。ところが、レクサプロは最初から治療用量で服用することができ、さらに抗うつ作用も強いため、うつ病に対して即効性が高い薬剤と考えることができます。

本剤の用法は、1日1回夕食後に10㎎を服用することになっており、効果が不十分な場合は、1週間以上の間隔をあけて最大20㎎まで増量することができます。なお、傾眠傾向があることから服用時点は夕食後に設定されています。

 

副作用は、他のSSRIと同様に悪心・嘔吐・腹部膨満感・下痢などの消化器症状がありますが、レクサプロのみQT延長がある患者に禁忌となっています。QT延長は不整脈の一種で、突然脈が乱れて立ちくらみや意識を失う発作を起こし、発作が止まらない場合は死に至ることがある遺伝性の疾患です。

 

心血管系障害を有する患者はQT延長がある可能性があるため、レクサプロを服用する前には心血管系障害の有無を確認しなければなりません。これまで心電図検査で異常が認められたり、失神の既往がある患者の場合は、注意が必要です。

 

一方、レクサプロは他の薬と比較すると薬価が高い薬になります。また、デプロメール錠やパキシル錠はジェネリック医薬品も発売されており、さらに薬代を節約することができますが、レクサプロは新しく発売された薬のためジェネリック医薬品がありません。したがって、本剤は薬代が高くなっても、より早くより安全に治療したいという患者に向いている薬剤といえます。

 

併用禁忌

MAO阻害薬(エフピーなど)、ピモジド(オーラップ)
QT延長のある患者

 

まとめ
  • 副作用が少なく、相互作用も少ないことから、SSRIの第一選択薬として使用されやすい。
  • 初期用量が治療用量であるため、即効性がある。
  • QT延長がある患者には使用不可で、薬価は高価である。

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