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精神神経に作用する薬① かぜ薬

かぜ薬の成分

市販のかぜ薬は、複数の成分が組み合わさった配合剤として商品化されているものが多いです。医療用にも総合感冒薬はありますが、市販薬に比べると種類は少なく、病院で処方される薬は単一成分のものを数種類服用するということが多いです。

 

総合感冒薬は複数の成分を1回でまとめて服用できるという利便性と飲み間違いリスクを軽減できるというメリットがありますが、不要な成分のものまで服用してしまうデメリットがあります。
一方、単一成分の薬は何種類かの薬剤を飲む必要があり、面倒さと飲み間違いのリスクがありますが、症状に合わせてカスタマイズして処方・服用できるとメリットがあります。
以下に各成分について記していきます。

 

1 解熱鎮痛成分
【成分名】 アスピリン、サリチルアミド、エテンザミド、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン

発熱を鎮め、痛みを和らげる働きがあります。カロナールやタイレノールに含まれるアセトアミノフェンなどが代表的なものではないでしょうか。アセトアミノフェンは大量に服用しない限りは安全に使用できることが多いです。
しかし、サリチル酸系のサリチルアミド、エテンザミドは水痘(水疱瘡)インフルエンザにかかっている15歳未満の小児に使用すると、ライ症候群を引き起こす可能性が高くなるとされていますので、服用前に医師に相談する必要があります。

 

ライ症候群は急性脳症や肝機能障害を引き起こし、死に至ることもあります。症状は水痘やインフルエンザによる発熱の後、5~7日以内に長時間にわたって嘔吐し、意識障害や痙攣を起こします。
また、一般用医薬品において、小児はアスピリン、サザピリン、イブプロフェンを使用してはいけないことになっています。

 

かぜかインフルエンザの判別は難しいので、アセトアミノフェンもしくは生薬成分のみからなる製品を使用することが無難です。生薬成分については以下に記載します。

【解熱作用のある生薬成分】 ジリュウ(地竜)、ショウキョウ(生姜)、ケイヒ(桂皮)、ゴオウ(五黄)、カッコン(葛根)、サイコ(柴胡)、ボウフウ(防風)、ショウマ(升麻)

 

【鎮痛作用のある生薬成分】 センキュウ(川芎)、コウブシ(香附子)

 

2 抗ヒスタミン成分
【成分名】 クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、メキタジン、クレマスチンフマル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩

くしゃみや鼻汁を抑える作用があります。これらは副作用として眠気や口渇などがありますので注意が必要です。

 

3 抗コリン成分
【成分名】 ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド

くしゃみと鼻汁を抑える作用があります。抗ヒスタミン成分と同様の効果がありますが、薬理作用が異なるため、副作用が異なります。便秘や排尿困難が起こりやすいです。

 

4 アドレナリン作動成分
【成分名】 メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、マオウ(麻黄)

鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を広げる作用があります。

 

5 鎮咳成分
【成分名】 コデインリン酸塩酸、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩、クロペラスチン塩酸塩、ナンテンジツ(南天実)

咳を抑える作用があります。コデインは便秘を起こしやすいので注意が必要です。

 

6 去痰成分
【成分名】 グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、エチルシステイン塩酸塩、シャゼンソウ(車前草)、セネガ、キキョウ(桔梗)、セキサン(石蒜)、オウヒ(桜皮)

痰の切れを良くする作用があります。


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