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従来型(定型)抗精神病薬

フェノチアジン系抗精神病薬

クロルプロマジン塩酸塩 (商品名:ウインタミン、コントミン)

最初に抗精神病作用が確認された化合物です。統合失調症における幻覚や妄想などの急性期の陽性症状に使用されることが多い薬剤です。また症状が安定してくると維持療法として使用されます。

 

比較的に鎮静効果が強いため、躁病や神経症に対して不安・緊張・抑うつ、悪心・嘔吐に使用されたり、麻酔前投薬、人工冬眠、催眠・鎮静・鎮痛薬の効力を増強させる目的で使用されることもあります。古い薬剤ですが、本剤は幅広い適応症をもっていることから、現在でも有効に活用されることが多くあります。

 

一方、他の定型抗精神病薬よりも錐体外路症状(EPS)が出現する頻度は低いですが、ひとたび副作用が出現すると治療へのアドヒアランスを低下させてしまう要因となります。そのため、場合によってはアキネトン錠(塩酸ピペリデン)やアーテン錠(トリヘキシフェニジル塩酸塩)などが予防的に使用されることがあります。

 

 

 

レボメプロマジン (商品名:ヒルナミン、レボトミン)

抗幻覚作用と鎮静作用が強力な薬剤です。クロルプロマジンと同様に統合失調症における幻覚・妄想などの急性期の陽性症状や維持療法に使用されるほか、躁病やうつ病における不安・緊張にも使用されます。うつ病における不安・緊張には、鎮静のために比較的少量を使用しますが、不眠症状の改善のために就寝前に服用することもあります。

 

他の抗精神病薬と比べるとEPSの発現頻度は低いですが、必要に応じてアキネトン錠などを予防的に投与することがあります。

 

本剤は、クロルプロマジンと多くの点で共通する薬剤です。

 

 

 

フルフェナジンマレイン酸 (商品名:フルメジン)

本剤は強力な抗幻覚作用をもっているのが特徴です。統合失調症における幻覚、妄想などの急性期陽性症状および維持療法に使用されます。ただし、近年は積極的に使用されることは少なくなっています。

 

 

 

プロペリシアジン (商品名:ニューレプチル)

本剤は妄想や幻覚に対する効果や鎮静作用を有していますが、抗精神病薬の中で、感情の安定化作用攻撃性を弱める作用に優れています。また、ノルアドレナリンα1受容体遮断作用が強いために、起立性低血圧、ふらつき、過鎮静が起きやすいので注意が必要です。

 

一方で、ヒスタミンH1受容体遮断作用は弱いと考えられていますので、抗ヒスタミン薬により症状が悪化する可能性があるレストレスレッグス症候群(RLS)には適している薬剤といえます。また、EPSの発現は比較的少ない薬剤です。

 

 

 

ペルフェナジン (商品名:ピーゼットシー)

近年は統合失調症に対して、積極的に使用されることが少なくなっている薬剤です。統合失調症における幻覚、妄想などの急性期陽性症状および維持療法に対して使用されますが、ほかにも術前・術後の悪心・嘔吐メニエル症候群のめまいや耳鳴りに対して使用されることがあります。

 

 

 

プロクロルペラジン (商品名:ノバミン)

本剤は統合失調症における幻覚、妄想などの急性期陽性症状に対して適応がありますが、近年では積極的に使用される機会が少なくなっていて、本剤は統合失調症の治療においては見かけることが少なくなりました。

 

一方で本剤は悪心・嘔吐に対して効果があるので、緩和ケアの領域で見かけることが多くあります。本剤はオピオイド製剤の悪心・嘔吐に対する制吐作用を目的として使用頻度が高くなっています。

 

 

 

フルフェナジンデカン酸エステル (商品名:フルデカシン)

本剤は前述のフルメジンと同成分の薬剤ですが、剤型は注射薬になっています。本剤は筋肉内に投与されると徐々に血中へと移行していき、フルフェナジンに変換されて効果を発揮します。1回の投与で効果は4週間持続しますので、きちんと服用が遵守できない場合に対して有効です。

 

持続性が特徴である薬剤は、本剤以外にハロペリドールデカン酸エステルやリスペリドン持続性懸濁注射液などがありますが、本剤はこれらの薬剤に比べて鎮静作用が強い薬剤です。効果が長い分、副作用の発現や相互作用について注意が必要な薬剤です。

 

 


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