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メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)

メトトレキサート(MTX)は、関節リウマチ(RA)の薬物治療におけるアンカードラッグ(中心的薬剤)です。RAに対する有効性が高いですが、副作用も多い薬剤です。

 

MTXは、リンパ球などにおける葉酸代謝阻害による細胞増殖抑制作用と、滑膜の血管内細胞などにおけるアデノシン合成促進による抗炎症作用の2つ作用によって、RAで起こっている過剰な免疫機能を抑制します。

 

MTXを服用することによるRAに対する改善率は60%程度とされていますが、服用すればすぐに効き目が出てくるのではなく、3~6週間程度の服用期間が必要となります。

 

 

RAにおけるMTXの服用方法

RAの治療でMTXを服用する場合、毎日服用するのではなく、1週間のうち1~2日だけ服用をする独特な服用方法を行います。
原則として、6mg/週で経口投与を開始し、2~4週毎に10㎎/週前後まで増量します。
睡眠中は薬剤排泄能が低下するため、夕方は投与量を減らします。

 

効果と副作用を確認しながら、最大16mg/週まで増量したり、他のDMARDsへの変更や生物学的製剤の併用を選択します。
1週あたりの投与量を1回、または消化管障害がある場合は2~4回に分割して投与します。

 

8mg/週を超えて投与する場合は、3分割して服用することが推奨されています。定期的に臨床検査値を確認し副作用の発現に注意しなければなりません。

 

副作用を防ぐために葉酸を投与することもあります。以下に具体的な投与量の投与スケジュール例を示します。

 

 

MTXと葉酸の併用

MTXを服用した最終日の24~48時間以内に葉酸を服用することがあります。MTXは葉酸の働きを抑える効果を示しますので、服用を続けるうちに葉酸が不足し、副作用を発現する可能性があります。同時に服用するとMTXの効果が減弱するおそれがあります。
副作用として口内炎、吐気、下痢、肝機能異常などがあり、MTXの投与量が多くなるにつれて発現しやすくなりますが、葉酸を補給することで防ぐことができます。

 

一般的にはMTXを8mg/週を超えて服用する場合、葉酸製剤(フォリアミン)を併用します。ただし、高齢者や腎機能障害がある場合は、MTXが少量であっても併用することがあります。白血球減少などの重い副作用が起きた場合は、活性型の葉酸製剤(ロイコボリン)によって治療を行うことがあります。

 

葉酸により副作用を防ぐことができますが、葉酸の摂取量が過剰になってしまうとMTXの効果が弱まる可能性があります。葉酸は食物の中に含まれており、私たちは食事によって葉酸を摂取しています。葉酸を多く含む食品としてほうれん草、枝豆、グリーンアスパラ、レバーなどがあります。これらは葉酸を多く含んではいますが、摂取しても過量とはならないため、制限する必要はないとされています。
しかし、サプリメントや栄養補助食品に葉酸を多く含む製品が多くあり、これらを服用する場合は葉酸が過量となってしまうことがありますので、自己判断でサプリメントを服用することは危険です。

 

MTXの副作用

MTXは細胞の増殖を抑えるため、白血球や血小板の増殖も抑制されて白血球や血小板の数が減り過ぎてしまうことがあります。

 

白血球が減少すると細菌やウイルスに対する抵抗力が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。そのため、口内のただれや肺炎や尿路感染症などを起こしやすくなるため、注意が必要です。
また、血小板が減少すると、出血した血液を止める働きが弱くなるため、歯磨き等で容易に出血したり、皮下出血やあざができやすくなります。

 

RAの病態進行により、間質性肺炎を起こすことがありますが、MTXを服用することでも起きることもあります。肺は肺胞とよばれる小さな組織がブドウの房のように集まって組織されていて、その周りを毛細血管が網の目のように取り囲んでいます。
肺胞では外から取り込まれた空気中の酸素と血液との間でガス交換が行われており、間質性肺炎では、肺胞の壁や周辺に炎症が起こります。炎症が起こると肺胞の働きがうまく行われなくなるため、低酸素血症状となり呼吸が苦しくなります。

 

主な症状には痰の絡まない空咳、息切れ、発熱があります。間質性肺炎は進行して、肺が繊維化して硬くなってしまうことがあります。この状態になってしまうと元に戻ることができなくなってしまい、肺の機能が失われてしまいます。初期症状が出たら、早めに対処する必要があります。

 

 

MTX服用中における妊娠と授乳

MTXは服用により流産や奇形が誘発されやすいことが報告されているため、MTXを内服中および内服中止から少なからず3か月は妊娠を避ける必要があります。また、女性のみならず男性でも妊娠計画の少なくとも3ヶ月前にはMTXを中止しなければなりません。


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