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総合感冒薬

総合感冒薬とは、感冒の諸症状(発熱、頭痛、咽頭痛、関節・筋肉痛、喀痰、鼻汁・鼻閉・くしゃみ、咳嗽など)の緩和を目的として、様々な有効成分を配合した対症療法薬です。
PL配合顆粒のような配合薬は医療用医薬品から一般用医薬品まで使用されています。配合薬は一般用医薬品に多くラインナップされており、医療用医薬品は1剤につき1成分であることが多いです。

 

以下に総合感冒薬に配合される成分を示します。

 

【炎症・発熱・疼痛(頭痛、咽頭痛、関節・筋肉痛など)】

アセトアミノフェン、イブプロフェン、サリチルアミド、エテンザミド、イソプロピルアンチピリン、トラネキサム酸、リゾチーム

 

【喀痰】

アンブロキソール、ブロムへキシン、グアヤコールスルホン酸カリウム

 

【鼻症状(鼻汁、鼻閉、くしゃみ)】

(抗ヒスタミン薬)プロメタジン、ジフェニルピラリン、メキタジン、カルビノキサミン、クレマスチン、クロルフェニラミン
(抗コリン薬)ヨウ化イソプロパミド、ベラドンナ総アルカロイド
(アドレナリン作動薬)dl−メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン

 

【咳嗽】

ジヒドロコデイン、チペピジン、グアイフェネシン、ノスカピン、デキストロメトルファン

 

【ビタミン製剤】消耗したビタミンを補充する目的で使用

チアミン(ビタミンB1)、ビスイブチアミン(ビタミンB1誘導体)、ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体)、リボフラビン(ビタミンB2)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ヘスペリジン(ビタミンP)

 

総合感冒薬はあくまで対症療法として使用するのであって、感冒そのものを完治させるものではありません。感冒の各種症状は感染に対する生体防御であるので、それらを抑制する治癒が遅れる可能性があるため、総合感冒薬はむやみに使用しないようにしなければなりません。

 

抗菌薬が投与される場合

抗菌薬を頻用すると副作用(下痢、アレルギー)や耐性菌の出現のリスクを負うことになります。原則的に感冒には抗菌薬を使用しないことになっていますが、細菌感染症の合併症を疑う場合は抗菌薬を投与することがあります。細菌感染症合併を疑う条件として、以下の5つの症状があります。

①高熱が持続(3日間以上)
②膿性の喀痰、鼻汁
③扁桃腫大と膿栓・白苔付着
④中耳炎・副鼻腔炎の合併
⑤強い炎症反応(白血球増多、CRP陽性、赤沈値の亢進)

 

また、5つの症状がなくてもハイリスク患者(高齢者、慢性呼吸器疾患や心疾患などの基礎疾患がある場合)には抗菌薬投与をすることがあります。ハイリスク患者では、細菌性肺炎などが合併すると致死的になることがあるためです。

 

このように感冒に対する抗生剤投与については慎重に行なっていく必要があります。

 

ウイルス感染と細菌感染の鑑別、臨床症状の違い

抗菌薬の使用を考慮する5項目の症状が重要になります。

①高熱が持続(3日間以上)
②膿性の喀痰、鼻汁
③扁桃腫大と膿栓・白苔付着
④中耳炎・副鼻腔炎の合併
⑤強い炎症反応(白血球増多、CRP陽性、赤沈値の亢進)

 

ウイルス性の上気道炎ならば、感染が上気道に限定的であるため、症状は鼻腔・咽喉頭など局所的になります。また鼻汁や咽頭痛などを呈する場合が多く、発熱はあるが通常は微熱です。一方、強い全身倦怠感、高熱、黄色・膿性の喀痰が多い場合は細菌感染症を疑います。

 

臨床検査所見について

ウイルス感染症の場合、白血球はほぼ正常範囲か上限程度ですが、細菌感染症では白血球数、特に好中球が増加します。C反応性タンパク(CRP)はどちらでも上昇しますので、白血球数が区別するための指標として有効であると考えられます。

 

 

普通感冒(ウイルス感染)と細菌感染において、症状や検査所見では違いを認めることができますが、実際の臨床では鑑別が困難なことが多いために臨床医の判断に委ねられます。

 


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