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ビスホスホネート製剤(BP)

一般名(商品名)

①リセドロン酸(商品名:ベネット)
②ミノドロン酸(商品名:ボノテオ、リカルボン)
③アレンドロン酸(商品名:フォサマック)
④エチドロン酸(商品名:ダイドロネル)
⑤イバンドロン酸(商品名:ボンビバ)

 

作用機序

BPは、ヒドロキシアパタイトと結合して、遊離した薬が破骨細胞に取り込まれます。すると破骨細胞がアポトーシスを起こし、結果として骨吸収が抑制されます。

 

BPは血中濃度によって作用の強さが変わらないのが特徴です。
通常の薬剤は、血中にどれだけその薬剤が存在するかで薬の作用の強さが決まってきますが、BPは一度吸収されると破骨細胞にとりこまれ、血中濃度が低下しても骨中に沈着して効果を発揮することができます。

 

そのため、BPは週に1回、月に1回または年に1回投与が可能な薬剤となっています。投与間隔が大きいほど、投与量も多くなりますが、毎日服用する必要性がないため、患者の利便性が高く、服薬コンプライアンスや生活スタイルに合わせた製剤選択を行うことができます。

 

一方で、BPは腸管からの吸収が極めて悪く、食餌の摂取によってさらに吸収が低下します。そのため、起床時が胃の中が空っぽの状態であるため、BPの経口投与を行う際には起床時にすぐに服用することになっています。

 

<適応>
骨粗鬆症

 

<禁忌>
食道通過障害(食道狭窄またはアカラシア等)
服用時に立位または坐位を30分以上保てない患者
低Ca血症、高度腎障害、妊婦、骨軟化症、小児

 

<副作用>

低Ca血症、上部消化管障害(食道・胃・十二指腸潰瘍など)
顎骨壊死、肝機能障害、悪心・嘔吐

 

BPが長く食道に留まると食道潰瘍や食道炎を生じることがあるため、BPは空腹時に多量の水(200 mL程度)で服用し、服用後30分は横にならないなどの必要性があります食道通過障害がある場合は服用してはいけません。

 

また、BPにおいて、顎骨壊死(BRONJ)と長期投与後の大腿骨骨折が注目されています。BRONJは顎の骨が炎症を起こして壊死するもので、抜歯後などに発生します。発生頻度は、1万〜10万人に1人ぐらいの稀な副作用です。顎の骨が壊死すると口の中に生息する細菌による感染が起こり、顎の痛み、腫れ、化膿などの症状が出現します。

 

現段階では発生機序は不明となっていますが、BPの服用期間の長さが長いほどBRONJが起こりやすいとされており、BPを服用して3年未満ならばリスクは低いが、3年以上飲んでいたら休薬を考えるなどの必要性があるとの報告があります。

 

したがって、BRONJを予防するために、抜歯やインプラント治療などの侵襲性の高い治療を行う際には服用を中止しなければならない場合があります。また、口の中が不衛生になると顎骨壊死を引き起こしやすいので、予防するには口腔ケアをきちんと行うことが重要です。

 

大腿骨骨折は、大腿骨の骨皮質が厚くなっているにもかかわらず、まったく外傷がないか、軽微な外傷が原因となって骨幹部がポキっと折れてしまいます。前駆症状として足の付け根が痛むことがあり、BPを3年以上飲み続けている人で痛みがある場合はレントゲン検査によりそれを事前に予防する必要があります。

 

<相互作用>
ミネラル(Ca、Mg、Fe、Al)含有製剤と同時に併用すると本剤の効果が減弱します。


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