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問 メチルフェニデート塩酸塩製剤の管理と使用に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。

 

1 「うつ病」の適応症を有する。
2 薬物依存や乱用のリスクを十分に管理するために流通管理基準が定められている。
3 第三者委員会が定めた基準を満たした登録医師であればどの医療機関でも処方できる。
4 薬局は、調剤前に処方せん発行医師が第三者委員会に登録されていることを確認できない場合は、調剤を拒否する。
5 卸販売業者は、第三者委員会に登録された医師、医療機関及び薬局にのみ販売できる。

 

メチルフェニデート塩酸塩は、精神刺激作用があり、覚せい剤と似たような作用を示します。気持ちを上げる効果があることからかつてはうつ病の治療に使用されていましたが、乱用による薬物依存が問題となったため、現在は適応症が睡眠障害のナルコレプシーのみとなりました。

 

1 誤
冒頭にあるように、乱用が社会問題となったため、厚労省2007年10月適応症から「うつ病」を削除し、保険診療の対象を睡眠障害の「ナルコレプシー」のみとしました。

 

2 正
ナルコレプシーの診断、治療に精通し、薬物依存を含めたリスク等についても充分に管理できる医師、医療機関、管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるよう登録制度を導入しています。登録薬局でしか取り扱えないため、薬局では私は取り扱ったことがないです。大学病院に勤務していたときに取り扱ったことがあるような気がします。

 

3 誤
登録基準を満たした医師が、ナルコレプシーの診断・治療を行う医療機関の登録医師であることを電話で確認します。処方医師が登録医療機関の登録医師でない場合、処方することはできないことになっています。

 

4 正
処方せんを受け取った院外薬局は、処方医師が登録医療機関の登録医師であることを事務局に電話で確認します。処方医師が登録医療機関の登録医師でない場合は、調剤を断ることができます。これは正当な理由に該当します。
また、院外薬局は事前に薬局開設者及び管理薬剤師の連名で登録申請を行い、承認された薬局でないと調剤することができません。
院内薬局の場合は、調剤責任者を事前に登録する必要があります。

 

5 正
卸販売業者はメチルフェニデートの注文があった場合、登録医療機関又は登録薬局であるか事務局にFAXで確認します。登録されていなかったら、納品を行わず理由を医療機関や薬局にその旨を連絡します。

 

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療について

リタリン(成分:メチルフェニデート塩酸塩)という薬は、適応外でAD/HDに使用されることもありました。しかし、新たにAD/HDの適応症を有する同一成分のコンサータ錠という薬が発表されました。これにより堂々とメチルフェニデートにより治療を行うことができるようになりました。適正使用のため、リタリンと同様に登録制となっています。

 


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